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欧州旅行大手TUI社、英国とアイルランドで166店舗を閉鎖、コロナ禍の消費者動向からオンライン化を加速

ヨーロッパ大手旅行TUI社がイギリスとアイルランドの166店舗を閉鎖する。BBCなど海外大手メディア各社が伝えている。これにより、約900人の雇用に影響が出るようだ。

同社は閉鎖する店舗をまだ具体的に発表していない。約350店舗は存続する見込みだが、ロックダウン終了後も再開している店舗はない。

同社は、新型コロナウイルス発生以前からオンライン化を進めてきたが、店舗閉鎖の理由として、コロナ禍で消費者のオンライン予約への移行がさらに進んでいることを挙げている。イギリスのTUIでは、予約の70%がオンラインだという。

同社は今年5月に、30%のコスト削減を実施するために世界で約8000人を削減する大規模な事業再編計画を発表している。

このTUIの決断について、大手データ分析会社GlobalDataは、「ポストコロナでは、世界の旅行者の45%がオンラインで商品を購入するとの意向があり、また需要が落ち込んでいる現在、コスト削減を急ぐ必要があることを考えれば、戦略を見直すことは大いに有り得ることだ」と分析している。

また、不確定要素が多い今の旅行業界で、身軽なビジネスモデルを持つ旅行会社やオペレーターが有利とし、TUIもその方向への道筋を探しているとした。

同社は、データから消費者行動についても言及。旅行会社の店舗で商品を購入した消費者のなかで、最も多かったのが65歳以上(全体の20%)だが、新型コロナウイルスの収束が見えない現状、その層は旅行に消極的で、同社の調査によると、その年齢層の43%が短期的に海外旅行を減らすと回答しているという。

そのうえで、旅行需要が急激に落ち込んでいるなか、店舗収入に頼るのは大きな問題とし、消費者の購買動向が変化するなか、より幅広い年齢層を取り込むためには、オンライン・プラットフォームの構築に再度集中すべきだと指摘した。