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空港でのコロナ検査は浸透するか? 海外旅行の需要喚起を後押しする方策を考える【外電】

世界の主要空港の一部で、海外からの到着客を対象に、新型コロナウイルス検査の実施が始まっている。任意の場合や義務化しているケースなど、その内容は様々だ。

一方、欧米の航空各社は、海外旅行者向けの検査プログラムを統一化して実施するべきとの要望を示している。現行の自己隔離や入国制限が大西洋間の航空需要の回復を妨げているため、これに替わる対策が必要だとの考えからだ。

空港でのコロナ検査がもっとも普及しているのはドイツだろう。米国を含む高リスク地域からやってきた旅行者は、ドイツ到着後、72時間以内の検査が必須となっている。検査は空港で受けられ、費用は無料。現在、ベルリンのテーゲル空港とシェーネフェルト空港、ミュンヘン空港、フランクフルト空港、デュッセルドルフ空港などで実施されている。例えばフランクフルト空港の場合、検査ステーションは2か所あり、いずれも1日18時間オープンしている。

ルフトハンザ航空では、2020年6月末からミュンヘン空港とフランクフルト空港で、国際線の到着便利用客を対象に検査をスタートしており、結果は4~5時間で分かる。陰性であれば、2週間の自己隔離は免除となり、即、自由行動となる。

東京の羽田空港と成田空港の検査では、もっと早く結果が出る。日経アジアンレビューの7月末報道によると、抗原検査の結果が出るまでの時間は1時間。羽田空港では、1日当たりの検査可能数を3800人まで増やす予定という。

またトルコのイスタンブール空港でも7月初めからコロナ検査が始まり、料金は16ドル。1日当たりの対応能力は約4万人。結果は2時間以内に判明する。

香港空港では、到着便旅客が検査所までの移動に利用できるシャトルバスが運行している(同空港ウェブサイトより)。

こうした取り組みが世界各地の国境で標準化されれば、パンデミックが続く中でも、海外への自由な移動が可能になるかもしれない。少なくとも、そう考えている大手航空会社もある。

アメリカン航空、ユナイテッド航空、ルフトハンザ航空グループ、インターナショナル航空グループ(ブリティッシュ航空の親会社)のCEOたちは2020年7月、マイク・ペンス米副大統領とEU(欧州委員会)のイルヴァ・ヨハンソン内務担当委員宛ての共同書簡にサインし、欧米で統一化されたコロナ検査プログラムを策定することを要望。これにより大西洋路線の航空需要が活性化できると訴えた。

目下、米国ではEUおよび英国からの旅行者の入国を禁止しており、EUも米国からの旅行者に対して同様の措置をとっている。英国では、旅行者に14日間の自己隔離を義務付けている。

米ユタ、ネブラスカ、アイオワの3州でコロナ検査を受託している企業、ノミヘルス社の共同創業者、ジョシュ・ウォルカー氏は、世界各国が検査プログラムを統一できれば、旅行制限の緩和につながるとの考えだ。ただし、実現するのは簡単ではない。

「可能だとは思う。もちろん、かなりの覚悟が必要になる」とウォルカー氏は言う。

ノミヘルス社では、マイアミ空港、ロンドンのヒースロー空港、米国外の大手航空会社との間でも、検査業務の受託について協議したという。

ウォルカー氏は、検査を統一するためには、世界各地の政府当局が同じプトロコルを採用する必要があると指摘する。例えば、旅行者が手続きを開始するにあたり、まず必要となる登録情報のウェブサイトは統一されていたほうがよい。検査に使用するテクノロジーの標準化や、所要時間を一定枠内に収めることも必要だ。

空港で到着時にコロナ検査を受けられるようになれば、それは大きな前進だが、出発前に検査できるとさらに良い、と同氏は話す。例えば、空港施設の内外に検査所を設け、旅客にはフライト出発までの24時間以内に予約するよう義務付ける、などを想定している。このやり方なら、出発までに検査結果が分かる。

さらに検査結果を搭乗券にコード化して搭載することも一案だとウォルター氏はつけ加えた。

※この記事は、米旅行業界誌ニュースメディア「トラベルウィークリー(TravelWeekly)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事(英文):Airport Covid-19 testing could help countries open for travel

著者: ロバート・シルク(Robert Silk)