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【年頭所感】JTB代表取締役社長 山北栄二郎氏 ―新しい交流時代を切り拓く

JTB代表取締役社長の山北栄二郎氏が、2021年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。

山北氏は、新型コロナウイルス感染症の拡大を経て、人々の価値観が変化し、社会のデジタル化が加速したと言及。新中期経営計画のもと、デジタル基盤に人の温かみを載せたサービスで、新たな交流時代を切り拓くとの意志を示した。さらに、人々の旅や交流への想いは不変であり、コロナ禍でその重要性が改めて見直されているとし、ツーリズム産業が果たしてきた社会的・経済的な意義を再認識し、心豊かで持続可能な社会の実現に向けた努力を続けていくとしている。

発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。


2021年 年頭所感

新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

2020年は、世界中の人々にとって新型コロナウイルス感染症の拡大に翻弄された一年となりました。とりわけツーリズム産業へ与えた影響は特に甚大で、残念ながら今もなお深刻な状況は続いております。

2021年のスタートにあたり、ワクチンの開発・接種に関する明るい話題はあるものの、国境を越える人々の往来が可能になるには、なお一定の期間を要すると思われます。当面は国内の旅行において、感染拡大防止策を最優先事項として、関係機関の皆さまと共に、三密の回避、時期や場所の分散を推奨する等の対策を講じ、交流回復に向けての取り組みを慎重に進めてまいりたいと思います。

本年の象徴的存在として期待されるのが、昨年から延期された「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)」です。当社は東京2020オフィシャル旅行サービスパートナーとして、これまでの実績とノウハウを生かし、この特別な状況下における大会の成功に貢献する所存です。

感染拡大から一年を経た中で、人々はニューノーマルの生活様式を受け入れ、働き方やライフスタイルの変化、地球環境に対する意識の高まりなど、その価値観は変化しています。同時に社会全体のデジタル化も一気に加速しました。JTBグループはウィズコロナにおけるこのようなお客様の変化を踏まえ、新しい交流時代を切り拓くための『新』交流創造ビジョン(中期経営計画)を策定しました。私たちはお客様のカスタマージャーニーに深く寄り添い、確固たるデジタル基盤の上に人の温かみを載せたサービスにより、本当に価値と実感していただける顧客体験の実現を追求していきます。

JTBダイナミックパッケージ「My STYLE」によるパーソナルニーズへの対応や、ウィズ、アフターコロナでの新しい交流を実現するオンラインとリアルを融合したハイブリッド型の会議・イベントの実施等はその一例となります。また日本全国、全世界のネットワークを活用した着地でのコンテンツ開発、情報発信、リモートオンライン相談などを行う一方、自治体やDMO(※)、観光事業者様とのつながりを活かし、事業パートナーの皆さまとともに持続可能な地域の発展に貢献してまいります。こうした取り組みを通じ人流に依存しない新たなビジネスモデルの拡大にも挑戦していきたいと考えます。

人々の旅や交流への想いは不変であり、コロナ禍でその重要性やニーズがあらためて見直されています。すそ野の広いツーリズム産業が果たしてきた社会的・経済的な意義を改めて再認識し、明るく心豊かで、持続可能な社会の実現に向けて弛まぬ努力を続けてまいります。ウイルスに対して人類の叡知が勝ることへの確信と期待を胸に、世界中の人々が笑顔で交流できる日を心から願い、新年のご挨拶とさせていただきます。

※DMO:地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人

株式会社JTB

代表取締役 社長執行役員

山北栄二郎