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グランピングを第3の事業の柱に、グローバルWiFi・ビジョン社長が描く「地域との共創の絵図」を聞いてきた(PR)

海外旅行者向けWi-Fiルーターレンタル「グローバルWiFi」のビジョン社は、このほど新たな事業として「グランピング事業」の立ち上げを発表した。グランピングに特化した宿泊事業を2022年上半期に開始し、各地域で開業する計画。これまでの同社の成長を牽引したオフィス向け情報通信サービス事業と、同社を東証一部上場企業に押し上げたグローバルWiFi事業に次ぐ、第3の柱として注力していく方針だ。

「既存事業と全く違う領域への参入に見えるかもしれないが、親和性が高いと思っている。新しい宿泊スタイルとして定着させ、地域とともに成長を目指し、地方創生に貢献したい」と話す同社代表取締役社長兼CEOの佐野健一氏に、同社のグランピングスタイルから、既存事業とのシナジー、地域との共創まで、目指す姿を聞いてきた。

グランピングの強い需要

ベッドや冷暖房が完備された常設テントで、優雅なキャンプ体験ができるグランピング。コロナ禍の昨年、屋外の開放的なイメージでキャンプとともに一気に注目が高まったが、佐野氏はコロナ禍以前からグランピング事業を構想していたという。3年前にはビジョンの定款に「宿泊事業」を追加していた。

注目した理由は「グランピングという宿泊施設の形態が、ホテルや旅館では充足しきれなかった需要を満たすものであること」(佐野氏)。例えば、ホテルは4名以上のグループで利用できる客室を備える施設は少ない。一方、旅館は家族で宿泊する場合、親世代の意向が先行して子供はそれについていくケースが多い。また、ペット(犬)の受入れが可能なホテルや旅館は、まだ少ないのが現状だ。

佐野氏は、グランピングが既存マーケットで埋まっていなかったカテゴリを受け入れられる宿泊施設であり、大人も子供も「行きたい」と声をあげられる場所であるのが強みだと見る。

そのため、ビジョンが用意するグランピングは、「他とは少しテイストが違う」(佐野氏)。居室空間となるテントの各棟には、専用のバーベキューコンロはもちろん、トイレや露天風呂も備える予定。屋外スペースは1棟ごとに十分な広さを確保し、自然との一体感と同時にプライベート性も重視する。グランピングでは、旅館業法における簡易宿所での営業を行う事業者もいるが、ビジョンでは旅館・ホテルでの営業許可を取得し、旅館・ホテルと遜色ない快適さを保つ設備を整える考えだ。

こうした露天風呂付客室でプライベートガーデンも楽しめるような贅沢な滞在を、1人1泊2食付きで2万円前後で提供する考え。佐野氏は、「いい場所があれば、積極的に出していきたい。グランピングを、ホテルや旅館に並ぶ新しい宿泊形態として育てたい」と意気込む。

ドーム型テントの中はベッドやソファ、空調完備で快適な滞在が可能(画像は「美肌の湯 こしかの温泉」)

自信の裏には、理由がある。実は、鹿児島県出身である佐野氏の実家は、霧島市の日当山温泉郷で「美肌の湯 こしかの温泉」を経営している。老朽化で閉館した湯治宿「幸荘」を前経営者から受け継ぎ、2018年7月に全室源泉かけ流し温泉付の小旅館としてリニューアルオープンした施設だ。2020年1月には、グランピングも開始した。

コロナ以前から地元客を中心に人気で、宿泊客の7割が県内需要だ。コロナの流行後も高稼働が続き、特にグランピングは土曜日の宿泊が8月まで予約が埋まっている。この状況に佐野氏は「このスタイルは、消費者が求めていたものだった」と確信したという。

まずは、東京など大都市から2時間程度でアクセスできる温泉地複数か所での展開を想定。1施設のテント棟数は少数だが、これを全国展開してスケールさせる考えだ。そのためのポイントとみるのが、滞在の魅力付けとなる地域との連携、そして既存事業のリソース活用だ。

地域の魅力と自社の強みを生かす

新たなグランピング施設では、地域の食材はもちろん、施設内で提供する商品やサービスは地元の人気店などと提携し、地域色を出す。佐野氏は、「施設だけでは地域に泊まりに来るだけになる。それでは旅行者も地域も満足しない」と考えており、地域との連携が新事業の成功に欠かせないポイントであることを強調する。アクティビティや観光施設とも連携し、宿泊客に地域の楽しみ方も発信する。「観光客は観光の目的があって、旅行先や滞在先を決める。選ばれる地域となるよう、一緒に魅力を高め、その良さをお客様に伝えていきたい」と話す。

では、どのように販売を進めるのか?

そこでビジョンの既存事業とシナジーを発揮できると、佐野氏は考えている。強みは集客基盤と顧客基盤。集客では、情報通信に精通する企業として、地域の魅力をアピールする動画制作やオンラインプロモーションを行えるほか、グローバルWiFiの販売で構築したOTAや旅行会社とのネットワークを、グランピング販売にも生かせる。第1種旅行業者として、自らがグランピングと地域体験をあわせた宿泊パッケージの販売することも可能だ。

さらにビジョンの顧客基盤は、旅行と親和性が高い。グローバルWiFi事業には、国内・訪日客向けのWiFiルーターレンタル会員を含め、のべ1500万人の旅好きユーザーがいる。また、情報通信サービス事業の顧客企業の社長や役員らにも、余暇の過ごし方としてグランピングは相性が良い。佐野氏の実家が経営するグランピングは、企業の研修などで利用されるケースもあるといい、ビジョンの事業でもワーケーションや研修などの法人需要も見込む。

このほか、テクノロジーに強い企業として、IoTを活用したニューノーマル対応のサービスも提供する。「労働集約型ではないビジネスを目指しているので、地域の事業者と連携しながら運用する。地域と一緒に新しい化学反応を起こしていきたい」(佐野氏)。すでにいくつかの地域や地域事業者から手が挙がっており、候補地には佐野氏自ら視察に訪れるという。

テントには広々とした露天風呂も設置する予定(画像は「美肌の湯 こしかの温泉」)

危機が起こっても持続成長できる企業・地域に

コロナの流行以前からグランピング事業を構想していた佐野氏だが、始動を決めたきっかけは、コロナ禍だ。やはり、ビジョンも影響を受けた。稼ぎ頭のグローバルWiFi事業が、国際往来の停止に伴い完全にストップしたのだ。佐野氏は、「自分の力ではどうしようもできないことが起こったが、前に向かうことを決断せざるを得なかった。このような状況でも、一部上場企業には成長が求められる。この苦境を良い踊り場にとらえ、何ができるか真剣に考えた」と振り返る。

その結果、2020年4月~6月期は赤字となったが、それ以降は黒字に転化。業績の支えになったのは、情報通信サービス事業の顧客同士の紹介による案件の発生だという。つまり、情報通信を軸にオフィス運営に必要なサービスや機器を提供してきた同事業のビジネスモデルが、“横展開”できるものだったことだ。顧客やその知り合いが、厳しい環境下での重要な投資を「ビジョンだから任せたい」と依頼してきた。

その重みを感じながら、「既存事業を横展開でき、かつ、これからの時代に伸びるサービス」の事業化に取り組んだ。その1つが、自社事業と地域の相乗効果が期待できるグランピングだと判断した。佐野氏は、グランピング事業発表後の海外投資家からの評価にも手ごたえを感じており、訪日客の需要も十分に期待できると見込んでいる。

「既存事業の資産を生かすこと。いまは経営者だけでなく、現場のスタッフもお客様とのつながりを持ち続けていくことを常に考えている。様々な変化に耐えうる企業文化・事業をつくり、顧客や地域に貢献したい」と力を籠める。

ビジョン代表取締役社長兼CEO・佐野健一氏

この時期だからこそ、やる意味がある

コロナで、人々の自由な移動が物理的にも精神的にも抑制されて1年。佐野氏の実家が営むグランピングを利用した地元客の「自宅から15分で到着したけど、遠くに来たみたい」という喜びの声を伝え聞き、改めて観光の意義を認識した。そして「なかなか攻められないこの時期だからこそ、我々がやる意味ある」と、グランピング事業への思いを強めている。

人の移動を抑制したコロナは、地域経済にも大きな影響を与えた。特に、コロナ以前から少子高齢化、過疎化で痛手を受けていた地方は、マーケットの縮小はもちろん、空き家や廃業、廃校などの問題が深刻化している。「(新事業では)ホテルや旅館などの既存施設や店舗の一部敷地にグランピングを展開し、共同で地域のプロモーションを行うなど、様々な展開が考えられる。地域を盛り上げる起爆剤として活用してほしい」(佐野氏)。

キーワードは「新しい常識への挑戦」。宿泊業としてビジョンは新規参入者だが、社内のプロジェクトチームは、あえて経験者はゼロにした。「経験則に寄らない発想・気づきを大切にしたい」と佐野氏。これまでの宿泊業にない情報通信を軸にしたリソースの活用で、グランピング事業と地域の成長を推し進めていく。

夜も屋外でのんびり過ごせるのは、グランピングならではの体験(画像は「美肌の湯 こしかの温泉」)

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記事:トラベルボイス企画部