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タイ政府観光庁、外国人旅行者受け入れ再開で掲げる、5つの観光復興政策

タイ国政府観光庁(TAT)は、2021年11月から低リスク国・地域からの外国人観光客の受け入れを再開するにあたり、2022年度のタイ誘客インバウンド政策を明らかにした。

タイ政府は先日、日本を含む46カ国・地域を低リスクの対象として承認。承認国に21日以上滞在している場合は、タイ入国後の隔離は免除される。また、12月1日から、飲食店でのアルコール提供、娯楽施設やリラクゼーション施設の営業も再開される見込みだ。

同庁のタネート・ペースワン副総裁は、オンラインで開催された「タイランド・ツーリズム・フォーラム」で、今後の方針について「健康やスポーツ、国連の提唱するSDGsに沿った持続可能な観光の実現を目指す」と説明。さまざまな緩和によって、「今年年末から来年初頭にかけて、徐々に外国人旅行者が増えていくだろう」と期待感を表した。

TATは、外国人旅行者受け入れ再開に向けて、タイ国内の観光収入の15%以上が外国人観光客による地域、近隣諸国と陸路で往来が可能な地域、歴史文化遺産などで観光の潜在性が高い地域でのマーケティングを強化し、「BLUE (Business and Leisure Ultimate Experience) Zone 」と名付けた観光復興政策を2022年にかけて推進ていく。

政策の柱は以下の5つの指針。

  1. 新たな世界標準の観光地にする。
  2. 質の高い観光客により高付加価値な旅行体験を提供する。
  3. 安全安心のイメージを高め、他では得られない感動体験の認知度を高める。
  4. 衛生面で安全に滞在できることを観光客に知ってもらう。
  5. ニューノーマルのもと、個人・組織レベルで衛生対策を徹底する。

タイ国政府観光庁の今後の方針を説明するタネート副総裁タネート副総裁は、「コロナを克服したあとの観光のあるべき姿は、観光客をむやみに増やすことではなく、観光収入を拡大させていくこと」と話し、訪問者数にこだわらない政策を進めていく考えを示した。2019年のタイへの日本人観光客数は約180万人で過去最多を記録した。

日本市場では11月以降、2022年の日タイ修好135周年を記念して、日本のゴルファーを誘致するプロモーションを展開する。タネート副総裁は、「日本では20~30代のゴルフ人気が高まっている。今後も期待できるマーケット」と位置づけ、まずは3密が避けられるスポーツであるゴルフからタイの訴求を強めていく。

そのうえで、今後の訪タイ日本人観光客の回復と双方向交流の復活に向けて、日本帰国後の自主隔離のさらなる緩和あるいは廃止を求めた。

観光事業者に徹底した衛生基準

このほか、タネート副総裁は、感染予防対策として、観光スポーツ省と保健省が中心に進めている「アメージング・タイランド安全衛生基準(SHA)」に言及。このプログラムには、飲食業、ホテル、交通、旅行会社、会議場、商業施設、娯楽施設、スポーツ、エンターテイメントなど観光に関わる事業者が参加しており、10月中旬現在で約1万7000軒が基準を取得。加えて、従業員70%以上がワクチン接種を完了している事業者を認証する「SHAプラス」では、約4000軒が取得しているという。

なお、タイでは、今年7月からプーケットで外国人旅行者の隔離を免除する「プーケット・サンドボックス」プログラムを先行して始めたが、10月31日までにこのプログラムを活用した日本人旅行者は191人にとどまった。また、サムイ島などプーケット周辺に対象を広げる「サムイ・プラス」では11人だった。