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ワールド航空、雇調金不正受給の問題で、第三者委員会は1.8億円相当の返納と、経営陣の刷新を提言

ワールド航空サービスの雇用調整助成金受給に関する問題で、第三者による調査委員会(委員長:久保利英明弁護士)が最終報告をまとめ、事実に反する不正受給が約1億7800万円と見られ、全額または一部を自主返納することが望ましいとの見解を示した。

調査委員会は、コロナ禍で休業中の従業員が急に仕事をすることがあった際、出社しても業務システムを使わないようにとの指示があったなどの実態を指摘。ヒアリング対象者の中には、経営幹部が事実に反する休業実績に基づいた雇用調整助成金の申請がされていたことを知っていたのではないかと憶測する人もいたという。これについては、決定的な材料を確認することはできなかったとした一方で、検温記録の有無、教育訓練といったさまざまな記録から不正受給が約1億7800万円に上ると推認した。

公表された資料によると、2021年8月時点の同社の雇用調整助成金支給金額は4億5384万3110円、緊急雇用安定助成金支給額は336万3700円だった。

調査委員会は、今回の問題の原因が、同社の基本的な内部統制システムの不存在、経営陣の管理部門に対する軽視の姿勢にあると指摘。同社の商品力、添乗サービスの質を評価する一方で、不正受給1億7800万円の自主返納の検討とともに、ガバナンスの問題としてこれまで実開催されていなかった取締役会の活性化、内部統制システムの整備、さらにオーナー体制であった現経営陣下で今回の事態が生じたことを踏まえ、コロナ禍を乗り越えた時点での、代表取締役会長 菊間潤吾氏、代表取締役社長 松本佳晴氏の交代を促した。

今回の最終報告書を受け、ワールド航空サービスの松本社長は「業務管理面の甘さ、内部統制の欠如を指摘されるとともに、招いた要因の一つが、経営陣の商品企画や営業部門の過度な重視姿勢にあったことが今回の事案の遠因とされた。真摯に受け止め対応してきたい」などとコメントを発表している。