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世界のサステナブル観光地100選を発表、日本から10地域が選出、釜石市は「シルバー賞」を受賞

持続可能な観光地の国際的な認証団体 「グリーン・デスティネーションズ」は、2022年のトップ100デスティネーションストーリーおよびデスティネーション・アワードの受賞地を発表した。ギリシャ・アテネで開催されたカンファレンス「グリーン・デスティネーション2022」の会場で発表されたもの。

グリーンデスティネーション・アワードの「プラチナ賞」はスウェーデン・ストックホルム市内のナショナルシティ公園「Royal Djurgården」、「ゴールド賞」はフランスオルヌ県のリゾート地「Bagnoles-de-l'Orne 」が受賞。日本からは岩手県釜石市が「シルバー賞」を獲得した。同市は日本で唯一アワードを受けている地域で、これまで「ブロンズ賞」を受賞していた。

グリーン・デスティネーションズ認証には合計100項目の評価基準が設定されている。トップ100デスティネーションについては、1年目は、100項目中のコア項目である30項目のうち15項目の審査で60%を満たすと1次審査を通過。2次審査で優良事例ストーリーを提出し、それにパスするとその年のトップ100選に選ばれる。

その上位段階に認証プログラムがあり、基準のクリア度合いによって「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」が設けられ、ブロンズは100項目中の60%クリアで取得。その後、それぞれ10%ずつ上乗せされ、90%クリアで「プラチナ」獲得となる。

なお、グリーン・デスティネーションズは、グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(GSTC)が認定をした認証団体で、このアワードを受賞した地域がGSTC認証にたどり着く流れとなっている。

日本のユニークな持続可能な地域づくりの事例とは

2022年のトップ100デスティネーションストーリーには、釜石市のほか、阿蘇市、下呂温泉、箱根町、東松島市、南知多町、那須塩原市、小国町、大洲市、小豆島町が選ばれた。

阿蘇市では、GSTCのトレーニングプログラムに従って、持続可能なモデルを創出。草地の保全と活用に関するガイドラインを策定し、関係者間で長期的な合意を得ることに成功した。これにより、伝統的な「草泊まり」が蘇り、ススキで作られた「草泊まり小屋」を6ヶ所再生。現在グランピングとして観光客に利用されて、その宿泊費は草原の保全活動の資金として活用されている。また、観光地では小型バスを運行することで、自家用車の削減も進めている。

下呂温泉では、人口減少が続く中、観光による地域経済活性化、コミュニティの維持、生活の質の向上に取り組んでいる。下呂温泉の宿泊者数を増やし、宿泊費と消費額を増やすために、観光資源の活用と保護に基づいたエコツーリズムを促進。利害関係者の間でもその意識を共有し、いい結果を導き出している。

南知多町では、ビーチクリーン活動を展開。関係者の環境への意識も向上し、ビーチでの廃棄ゴミの削減、食品廃棄の減少、ゴミの分別が進んでいる。

小豆島町では、名産であるオリーブで島の経済を活性化させるため、小豆島オリーブ公園の造成、オリーブ試験地区の再開発、オリーブの苗木の費用補助などを実施し、持続可能な農業を実現。オリーブの葉を牛の肥料として、廃棄ゴミを堆肥として用いるなど、環境負荷を最小限に抑える取り組みも進めている。

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