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星野リゾートが開業するコラボ形態の新概念ホテル、ハイアットと1つ屋根の下で運営する「リゾナーレ大阪」の狙いとは?

星野リゾートは2022年10月12日に開催したプレス発表会で、2022年11月から2023年の間に、計7軒のホテルを開業すると発表した。星野リゾートではコロナ以降も施設数を増やしており、2022年9月現在の施設数は計60軒に拡大している。代表の星野佳路氏は、「ホテル運営会社にとって、危機は案件を任されるチャンスでもある。コロナ禍でも運営施設を伸ばすことができている」とアピールした。

新規開業ホテルのなかで、まったく新しい概念で誕生するのが、「リゾナーレ大阪」(2022年12月16日開業予定)だ。立地は、480室の大型ホテル「ハイアットリージェンシー大阪」(以下、ハイアット)内で、23階と28階にリゾナーレ専用の客室フロアとアクティビティセンターを設置。1つの建屋の中に、まったく別のブランドホテルが営業する。

これについて星野氏は、ハイアットの主要客層である出張需要が、アフターコロナ以降もテレワークによって減少する見込みであることや、大阪でのホテル客室が供給過多の状況にあるため、単独でフル稼働するのが難しい状況になっていることを説明。「480室を活性化し、収益を上げるため、『コラボレーションホテル』という新しい概念を考えた。客層の異なるホテルブランドとコラボすることで、ホテルのポテンシャルを再び上げる」と説明した。

ポイントは、異なる2つのブランドホテルが、それぞれ得意とする市場にリーチすること。そのため星野リゾートは、ファミリー層向けリゾートブランドの「リゾナーレ」での開業を決めた。館内でリゾナーレの滞在客は、専用の2フロアに加え、プールやラウンジなど、ハイアットのサービスはすべて使用可能。「館内すべてを使って、リゾナーレ体験が出来上がる」という。

星野氏によるとホテルの供給過多は、大阪のみならず、東京や京都など、インバウンド需要の多い都市部で発生しているといい、今後も新しい発想の取り組みがあり得ると展望。「この状況はホテルの業界や文化にとって悪いこととは限らない。好調な時には考えもしないサービスやイノベーションが生まれ、それが需要を作っていく。供給過多と高需要の繰り返しでホテル業界は成長している」との考えを示した。

当日の発表スライドより:運営施設数と取扱高(202年9月現在)