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日本政府観光局、インバウンド復活へ訪日プロモーションを本格化、高付加価値旅行に注力

日本政府観光局(JNTO)は、水際対策の大幅緩和を受けて訪日プロモーションを本格化する。今春以降、JNTOでは日本の段階的な水際対策の緩和にあわせてフェーズをわけて活動を進めてきた。2022年10月11日からの個人旅行解禁で、訪日観光が本格再開することを踏まえ、海外メディアや旅行会社の招請や広告展開を積極化し、訪日旅行の復活を目指す。

JNTOでは、9月23日に岸田首相が訪日ビザ免除と入国者数上限の撤廃を正式表明した後、30か国を超える海外メディアに対して水際措置の緩和と歓迎のメッセージを発信。その反響はポジティブなものが多かったという。旅行会社に対しては訪日旅行の問い合わせが急増、その販売も好調。MICEでも動きが活発化し、欧州から日本へのインセンティブツアーや大型国際会議がハイブリッド形式ではありながらも決定した。

今後は、コロナ禍で制限していた日本への招請事業、旅行・航空会社との共同広告、リアル開催での商談会の実施や参加、訪日旅行喚起の広告を積極的に展開する。

具体的には、10月~2023年3月にかけて、合計25市場からメディア、旅行会社、インフルエンサーを招請する。水際対策緩和後のリアルな日本を紹介し、各市場の訪日ツアーの造成につなげたい考え。すでに10月には、欧米豪、中東、シンガポール市場からの高付加価値市場を対象に「Japan Luxury Showcase」を実施。オンライン商談会には17市場48人、ファムトリップには16市場から40名が参加し、北海道や四国、九州をめぐる11ツアーが実施された。

旅行・航空会社との共同広告は、来年3月までに24市場で実施。水際対策緩和前に実施していたイメージ訴求や情報発信から、販売促進の広告宣伝に移行する。例えば、シンガポールでは、訪日旅行の再開を訴求する「OKAERI(おかえり)キャンペーン」を展開。JAL、ANA、シンガポール航空、ジェットスター4社と日本の8自治体らと共同で、日本の四季の景色と日本人からの歓迎を表現するメッセージをオンライン広告や屋外広告で発信する。

このほか、海外でリアル実施されるBtoB、BtoC向けの旅行見本市や商談会への出展を加速。訪日旅行喚起に向けた広告は、欧米豪、アジアなどすべての重点・準重点市場で実施する。

消費額5兆円へ、高付加価値旅行の促進へ注力

政府は今回の水際対策の大幅緩和後、早期に「観光消費額5兆円」を達成することを目指している。インバウンド復活に向けて具体的な政策検討を急いでいるところだ。

JNTOでは、この目標に向けて、高付加価値旅行やアドベンチャートラベルの推進に注力していく方針。具体的には、長期滞在を好む欧米豪市場やスキーなどアクティビティで消費する旅行者を重点的に誘致していきたい考え。

さらに、JNTOが地域と国内をつなぐハブにとなり、国内においてはサービス内容の蓄積や国内関係者のネットワーク化を進める。海外では高付加価値旅行を扱う旅行業者や個人・団体に向けたセールスや情報発信を強化する。

知的好奇心が旺盛で価値ある体験への消費意欲が高い層は、地域で付加価値の高い旅行体験をすることで文化や自然の維持に貢献してくれるだけでなく、他者への発信力も強い。こうした層を取り込むことで、JNTOでは地域経済の好循環と持続可能な観光の実現を目指す。