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フィンエアー、羽田/ヘルシンキ線に新規就航、ロシア領空閉鎖の影響大きく、当面は東京路線に集約

フィンエアーは2022年10月31日、羽田/ヘルシンキ線に週7便で新規就航した。当初は2020年3月に就航予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期されていた。現行の成田/ヘルシンキ線週2便も維持される。

記者発表会でフィンエアー日本支社長の永原範昭氏は、「2019年の週34便の規模に復便していきたいが、当面は国内各地からの需要は羽田で取り込む」との考えを示した。フィンエアーは、新型コロナによる需要減退からの回復を目指しているが、今年2月以降はウクライナ危機の影響も大きく、ロシア領空の飛行が制限されていることから、日本路線の飛行時間は従来よりも約40%長い約13時間となっている。

フィンエアーは、コロナ前、東京に加えて、関西、中部、福岡、札幌に就航していたが、同航空マーケットマネジメント担当バイスプレジデントのミッコ・トゥルティアネン氏は「需要動向に加えて、ロシア上空を飛行できないためスケジュール調整が難しい上に、コスト負担も大きくなる。全体のネットワークから、日本路線では東京の週9便が最大の提供便数になる」と説明した。

トゥルティアネン氏は、今後の戦略について、「収益性を改善していくことが一番の目標」と強調。欧州とアジア、インド、中東、北米との乗り継ぎネットワークを強化していく考えを示した。そのなかで、日欧路線では、JAL、ブリティッシュ・エアウェイズ、イベリア航空との共同事業、北大西洋路線ではアメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、エアリンガスとの共同事業を重視していく。

トゥルティアネン氏は、JALとの協業について、「日本国内各地の旅行者を羽田に運んでもらえる」と話し、羽田での乗り継ぎ需要に期待を示した。羽田発AY62便は21時55分発、ヘルシンキ着4時25分(翌日)着。永原氏は「ヘルシンキでの乗り継ぎで、欧州の主要都市へは午前中に到着できる」と話し、スケジュールの優位性を強調した。復路のAY61便はヘルシンキ17時55分発、羽田14時25分(翌日)着。

また、トゥルティアネン氏は、航空業界での喫緊の課題としてサステナビリティへの取り組みにも言及。ユニットコストの削減を進めながら、CO2排出量を2025年までには2019年比で半減し、2045年までに実質カーボンニュートラルを目指すとしたほか、食品廃棄の削減、プラスティック使用の削減、リサイクルの向上などを進めていくと説明した。

羽田就航で会見に臨んだトゥルティアネン氏(左)と永原氏

ソファタイプ座席のビジネスクラス、A350を投入

フィンエアーはコロナ前から2億ユーロ(約2900億円)を投じて長距離路線機材のアップグレードを進めてきた。羽田線に投入されるA350もそのひとつ。新たにプレミアムエコノミー24席を導入したほか、ビジネスクラス(43席)では「エアラウンジ」というコンセプトのもと、世界で初めてリクライニングのいらないソファタイプの座席を新設した。トゥルティアネン氏によると、「横幅のスペースが広く、自分の思いのままの姿勢を保つことができる」という。

また、エコノミークラスもグレードアップ。新しい座席を設置したほか、12インチの新しい機内エンターテイメントシステムも導入した。

A350の新しいビジネスクラス(報道資料より)

日本路線に導入されたプレミアムエコノミー(報道資料より)フィンエアーは来年創立100周年、日本就航40周年の節目を迎える。トゥルティアネン氏は「これからも引き続き日本路線を重視していく。流通では、日本の旅行会社との関係もさらに深めていきたい」と意欲を示した。

※ユーロ円換算は1ユーロ146円でトラベルボイス編集部が算出