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日本のクルーズ客船「ぱしふぃっくびいなす」が事業終了、コロナ禍からの回復厳しく、会社は解散へ

クルーズ客船「ぱしふぃっくびいなす」(約2.6万トン)を運航する日本クルーズ客船は、2023年1月に客船事業を終了すると発表した。12月27日~2023年1月4日の日程で沖縄や奄美を巡る「びいなすニューイヤークルーズ」が最終運航となる。その後、同社は解散手続きに入る。 ※画像は日本クルーズ客船のホームページより

日本クルーズ客船は、トラベルボイスの取材に対して事業を終了する理由を「コロナ禍の影響による厳しい事業環境」と説明。コロナ禍で2020年2月に運休後、2022年3月までの本格再開までの2年間はほぼ運休となり、売り上げが立たなかった。具体的には、2021年夏季にいったん運航を再開したものの、感染状況を踏まえて運休となり、本格再開までの2年間で運航できたのは、わずか計8コース(19泊分)だった。

また、2022年3月の本格再開後も、感染対策で乗客数の制限を余儀なくされた。集客状況もコロナ以前の半分以下で、需要回復は厳しかった。日本のクルーズ客船はシニア層の顧客の強い需要に支えられていたが、コロナ禍においては「雰囲気からすると、コロナが収束するまで我慢しようというお客様が多い印象。慎重でまじめな方が多かったのでは」(同社広報担当)という。

「ぱしふぃっくびいなす」は最終クルーズの運航後、ドックに入る。その後は以前から、クルーズスケジュールを出していなかった。

日本クルーズ客船は、新日本海フェリー等のSHKグループが1989年4月に設立。1990年にクルーズ客船「おりえんとびいなす」を就航し、1998年に「ぱしふぃっくびいなす」を就航したが、2001年10月以降は「ぱしふぃっくびいなす」のみで運航していた。

同社の事業終了後は、日本企業で外航クルーズ(日本から海外へ行く国際クルーズ)を運航する客船会社は、郵船クルーズ(飛鳥II:総トン数・約5万トン)と商船三井客船(にっぽん丸:総トン数・約2.2万トン)の2社・2船のみとなる。