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米国で観光需要回復も物価高騰に苦しむ観光従事者、ディズニーなどに対して最低賃金の引き上げを要求

米フロリダ州中部の観光産業労働者は、家賃の上昇やインフレによって生計を立てるのが難しくなっているとして、経営側に最低賃金を少なくとも時給18ドル(約2650円)に引き上げるように求めている。

AP通信によると、現地の労働組合「ローカル737」は、扶養家族のない成人労働者が生活していくためには時給18.19ドル(約2670円)、2人の子供がいる家庭では時給23.91ドル(約3510円)が必要だと主張している。

この労働組合は、他の労働組合とともに、フロリダ州中部最大の雇用主であるウォルト・ディズニー・ワールドと今後5年間の契約交渉を行なっているところ。また、オレンジ・カウンティ・コンベンションセンターでケータリングサービスや施設管理を行なっている会社とも交渉を継続している。

ディズニー・ワールドとは2018年に、勤務スタート時の最低賃金を3年間にわたって時給15ドル(約2200円)に引き上げることに合意。ディズニーは代わりに、パートタイム労働者を増やすこと、同じポジションに長く留まることを求めた。

ローカル737によると、3年前は時給15ドルで十分だったが、「この3年間で家賃、食料、ガスなどの価格が高騰したため、この賃金ではもはや生き残れない」と訴えている。時給15ドルで働く従業員の現在の収入は、家賃、食品、ガスの毎月の支払額よりも530ドル(約7万8000円)も少ないという。また、テーマパークの入場者数やホテルの稼働率がパンデミック前の水準に戻っても、労働者は副業をせざるを得ない状況になっているようだ。

これに対して、ディズニー・ワールドは、正社員について、最低賃金を契約終了まで時給20ドル(約2940円)に引き上げると発表。「我々の申し出が受け入れられれば、賃金はフロリダ州の最低賃金を少なくとも時給5ドル(約735円)上回ることになる」との声明を出した。

※ドル円換算は1ドル147円でトラベルボイス編集部が算出