ボストン コンサルティング グループ(BCG)はこのほど、「メディア消費者行動調査」の結果を公表した。テレビやOTT(オーバー・ザ・トップ、インターネットを介したコンテンツ配信サービスのこと)を中心に、個人のメディア接触時間、利用動機、利用サービスなどの変化を定点観測することを目的に、今回初めて実施した。第1回は2022年12月17~19日の期間中、全国15~69歳の男女3750名から回答を得た。7名のインタビュー調査もおこなった。
これによると、1日あたりの平均利用時間は、60代はテレビを平均2.1時間見るのに対し、10代は1.2時間と半分程度。また、SVOD(サブスクリプション型動画配信)とAVOD(広告型動画配信)の合計では、60代0.9時間、10代2.3時間と、余暇の過ごし方は年代により異なり、若年層ほど動画視聴サービスにシフトしつつある。ただ、スポーツは同じ場所でのコミュニケーションを重視することを理由にテレビで視聴する傾向が強く、10代でもOTTよりテレビでの視聴が主流だった。
また、米国では大手のSVODは低い解約検討率を維持しているが、日本市場では同一の大手サービスで比較すると日本の解約検討率は米国の3倍以上だった。調査チームは「日本では地上波で流れる質の高いコンテンツに無料でアクセスできることが背景にある」と分析している。
これらの結果を受け、BCG東京オフィスマネージング・ディレクター&シニア・パートナーの桜井一正氏は「放送事業者は現状の放送網を維持しつつ、コンテンツ企画・製作における競争力の向上を最優先し、そのうえでコンテンツプロバイダーとしての成長に注力するか、デジタル配信力向上も加えた両輪を狙うかを経営判断していく必要がある」などと指摘した。