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海外赴任者の海外勤務手当、中央値は部長クラスで16万5000円、単身赴任手当「支給なし」は2割

EY税理士法人は、海外赴任者に関する給与・手当の実態を調査し、その結果を明らかにした。この調査は、2025年1~3月にかけて実施。企業の人事・経理・経営企画系を中心とした管理系部門の担当者269名(245社)の回答をもとに分析したもの。

回答した企業245社のうち182社が、海外赴任者の給与体系に「購買力補償方式(本国での購買力と同等の購買力を赴任先でも維持することを目的に、本国給与を基に赴任者給与を決定する方式)」を採用。本国給与とは別に海外勤務のために必要な給与・手当を上乗せ支給する「併用方式」を採用している企業は14%だった。

また、現地の給与体系と海外勤務のために必要な給与・手当を支給する「Local Plus」や、現地の給与体系を採用する企業はそれぞれ1社にとどまった。

海外勤務手当については「役職ごとに定額で支給」との回答が32%と最も多く、「月収の一定割合」「年収の一定割合」とする企業も計32%という結果だった。具体的な支給金額については、中央値は部長クラス16万5000円、課長クラス14万2000円、一般スタッフ11万0000円で、3年前と比較して課長クラスと一般スタッフは10%前後上昇した。

赴任先の医療や治安、インフラ、生活利便性などの面で負担やリスクが大きい場合に、その補償として支給するハードシップ手当の決定要素として最も多い回答は「コンサルティング会社や調査会社の発行する指数」の56%。次いで「自社独自の基準や調査結果」が13%。ハードシップ手当支給金額を都市別で見ると、中央値はニューデリー12万0000円、ハノイ5万4500円、バンコク3万5000円、ジャカルタ7万5000円、マニラ6万8000円、北京3万5000円。

単身赴任手当、18%が「支給していない」

単身赴任手当については、支給基準は「役職や年収などにかかわらず全員一律」が最も多く29%、「支給していない」割合も18%にのぼった。中央値は部長クラス・課長クラスともに10万円、一般スタッフ9万円。

非管理職者の残業代では、「一定時間分のみなし残業代を生計費のベースに含めて計算」が38%と最も高く、次いで「一定時間のみなし残業代を手当として支給」が19%、「赴任先での実残業時間に基づき残業代を支給(残業代の計算は日本基準または赴任先基準)」が11%。

このほか、245社のうち68%に当たる167社が、海外赴任者規程の見直しや新規作成の理由・目的について「赴任者の処遇改善のため」と回答。規程の見直しや作成にあたって最も難しいと感じる要素としては「世間相場の把握(手当・給与・福利厚生等)」が43%を占めた。