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観光庁の概算要求2026、総額は4割増の814億円、人材不足対策は6倍、ユニバーサルツーリズム促進へ大幅増額

観光庁は、令和8年度(2026年度)の概算要求を取りまとめた。要求額は、東日本大震災の復興枠を含めて2025年予算比で39%増となる813億5900万円。このうち一般財源は、2025年度比1.2倍となる106億9400万円で、持続可能な観光地づくり、地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組、国内交流拡大に取り組む。また、国際観光旅客税(いわゆる出国税)については、訪日外国人旅客のさらなる増加を見込み、同1.43倍となる700億円を要求した。

能登半島地震再生支援を新規要求

持続可能な観光地づくりでは、2025年度比1.46倍となる22億8900万円を要求。このうち、観光地・観光産業における人材不足対策として、同6倍となる3億円を要求。宿泊業の魅力発信イベントの実施や事業者の受入体制の強化などを推進するほか、自動チェックイン機、配膳・清掃ロボット、チャットボット、PMSなど人材活用の高度化に向けた設備投資を支援する。また、外国人材の確保・定着、教育プログラムの充実などを進める。

加えて、能登半島地震からの復興に向けた観光再生支援事業として、新規に1億円を要求した。個別事業者の経営高度化に向けた計画の策定を支援するほか、営業再開に向けた人材確保、地域の観光資源を活用したコンテンツ造成、情報発信などを支援する。

免税制度見直しの環境整備で1億円を要求

地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組では、同1.12倍となる68億7900万円を要求。このうち、戦略的な訪日プロモーションの促進では、同1.06倍の58億5000万円を要求。日本政府観光局(JNTO)によるプロモーション施策に充てる。

また、令和7年度税制改正で外国人旅行者向け免税制度が「リファンド方式」に見直されることが決定したことを受けて、空港などでの環境整備、周知・広報などを進める目的で1億円を要求した。

海外教育旅行を通じた若者の国際交流の促進では、同2.0倍の4000万円を要求。学校・地方公共団体と旅行業者の連携による海外教育旅行のプログラム開発や普及啓発を強化する。

ユニバーサルツーリズム促進は大幅に増額

国内交流拡大では、同1.76倍の7億2600万円を要求した。このうち、ユニバーサルツーリズムの促進に向けた環境整備については、同13.3倍となる4億円を要求。高齢者・障害者などが安心して旅行ができる環境を整備するため、旅行商品の造成のほか、ユニバーサルツーリズムの機運醸成に向けたシンポジウムなどを開催することで、新たな交流市場拡大を進めていく。

国際観光旅客税は新規性・緊急性の高い施策に

国際観光旅客税の活用については、受益と負担の関係から負担者の納得が得られること、先進性が高く費用対効果が高い取り組みであること、地方創生をはじめとする政策課題に合致することを基本的な考え方として、新規性・緊急性の高い施策に充てる。具体的な施策・事業については、民間有識者による検討も踏まえて、予算を編成する。

このほか、東日本大震災からの復興枠として、6億6500万円を要求。福島県での観光関連復興支援、プルーツーリズム推進支援などを推進していく。

予算の概要は以下の通り。

1.持続可能な観光地域づくり 22億8900万円

2.地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組 68億7900万円

3.国内交流拡大 7億2600万円

国際観光旅客税

国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開:700億円

復興枠

詳細は以下で確認できる。

観光庁:令和8年度(2026年度)概算要求の概要(PDF)