アブダビ文化観光局は、高額な美術品を対象とした新たな関税免除プログラムを開始すると発表した。この取り組みは、芸術品に対して信頼性の高い保管・展示環境を提供することで、アブダビを世界有数の文化拠点として位置づけることを目的とするものだ。
プログラムの対象となるのは、1000万AED(約4億円)以上の価値を持つ美術品で、最低3年間にわたりアブダビ国内に持ち込まれることが条件となる。この制度は、特に富裕層の個人コレクターや、資産管理組織向けに設計された。参加にあたっては、その美術品が正当な持ち主であるか、入手経路に問題がないかなどの事前調査手続きが必要で、専門委員会による厳格な審査がおこなわれる。
観光戦略2030に向けて、文化観光を加速
こうした施策は、アブダビが推進する「観光戦略2030」の一環として位置づけられている。同戦略は、2023年に2400万人だった国内外の訪問者数(日帰りを含む)を2030年までに3930万人へと引き上げ、観光が経済に与える貢献額を倍増させることを目標に掲げている。その実現に向けて、宿泊施設の拡充や航空便の増強といったインフラ整備から、世界26市場への強力なマーケティング、さらにはビザ申請の迅速化といった規制緩和まで、複数の政府機関が連携して26の重点施策を推進している。
アブダビは文化観光に注力しており、なかでも、海の上に浮かぶ巨大なドーム屋根が特徴的な、フランス国外初のルーヴル分館として知られる美術館「ルーヴル・アブダビ」や、世界最大級の手織り絨毯が敷かれた白亜の礼拝堂「シェイク・ザイード・グランド・モスク」などの名所が主要な拠点となっている。
今回の美術品関税免除プログラムは、こうした文化観光の成長トレンドを加速させる施策として位置づけられている。規制の確実性と構造化された監督体制を提供することで、グローバルな文化投資の受け皿としての魅力を強化し、単なる税制優遇が目的ではなく「文化的正統性を持つ保管拠点」としてのブランディングを推進する狙いだ。
※UAEディルハム/円換算は、1UAEディルハム40円でトラベルボイス編集部が算出