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原油価格の上昇で航空運賃が急騰、航空各社は苦境に、一方で上質な体験と快適性で新サービスも登場

写真:dpa(ロイター通信)

イランでの紛争が原油価格を押し上げ続けている。2026年2月末に米国とイスラエルがイランへの爆撃を開始して以来、世界中の航空会社が高騰するジェット燃料価格への対応に苦慮している。利用客はすでに運賃の値上げに直面し、今夏は価格がさらに高騰する可能性がある。

ユナイテッド航空のスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は、今週、原油価格が現在の水準に留まった場合、同社は110億ドル(約1兆7500億円)の損失に直面する可能性があると述べた。また、ユナイテッド航空の運賃は20%上昇する可能性があると明かした。原油価格が1バレル100ドル前後で推移する中、航空会社には増加したコストを消費者に転嫁する以外の選択肢はない。

この打撃により、生き残れない航空会社も出てくるだろう。

カービー氏は現在の状況を、世界的なロックダウンによって需要と旅行が押しつぶされた2020年のパンデミックになぞらえた。「もし他の連中が6年前と同じ過ちを犯し、1バレル175ドルという予測が的中すれば、生き残れない航空会社が現れるだろう」と語った。

LCCは高リスク、多くの航空会社はヘッジで燃料確保

セントラルフロリダ大学ローゼン・ホスピタリティ経営学部の副学部長、アラン・フィオール氏は、格安航空会社(LCC)は利益率が極めて低く、大量の客数に依存しているため、より高いリスクにさらされていると指摘する。

昨年2度目の破産を申請した米国のLCC、スピリット航空は、今月初めに複数の路線を廃止した。「彼ら(LCC)は、この種の課題に対する回復力が低い」とフィオール氏は言う。そして、影響は航空会社によって異なると同氏は付け加えた。多くの航空会社は燃料ヘッジ(先物取引による価格固定)をおこない、価格が安いうちに燃料を確保している。

ユナイテッド航空の最高商業責任者(CCO)アンドリュー・ノセラ氏は、同社には不安定な状況に立ち向かう準備ができていると述べた。

「我々の業界には定期的に衝撃が走るため、それに備えてきた」と同氏は語る。

「ガソリンスタンドと同様に、燃料コストを反映させるために価格を調整しなければならない。このような原油高の時期にあっても、我々は将来について非常に前向きに捉えている」

米国の中で、カリフォルニア州は自動車のガソリンと同様に、ジェット燃料も割高だ。

アトランティック・アビエーション社によると、先週金曜日のロサンゼルス国際空港(LAX)におけるタイプAジェット燃料の価格は1ガロンあたり12.72ドルだった。一方、デンバー国際空港では9.73ドル、マイアミ国際空港では11.73ドルだった。

AAA(全米自動車協会)によると、先週金曜日のカリフォルニア州における自動車用燃料の平均価格は1ガロンあたり5.84ドルで、全米平均の3.97ドルを大きく上回っている。

カービー氏によれば、西海岸は他の地域とパイプラインで結ばれていない「燃料の孤島(フューエル・アイランド)」であり、すべての原油や精製製品を船で運び込まなければならない。

「西海岸の燃料価格は、国内の他のどこよりも供給の弱さの影響を受けやすい。価格はほぼ確実に高くなるだろう」と、インタビューで語った。

航空各社がコスト削減を模索する中、サンノゼやバーバンクなどの拠点を結ぶカリフォルニア州内の一部の路線は、利用できなくなる可能性がある。

「航空会社は補給可能な場所のうち、最も安い場所で給油するだろう」とフィオール氏は言う。そのため、可能な限りカリフォルニアでの給油を避ける動きが出る可能性がある。

価格高騰でも上質な体験と快適さで勝負

世界的な紛争が続き、業界がさらなる燃料価格の高騰に備える中、ユナイテッド航空は今週、需要喚起に役立つと期待される新製品を発表した。

来年導入予定の「ユナイテッド・リラックス・ロウ(United Relax Row)」は、エコノミークラスの1列を、小さな子供連れの家族に最適なフルフラットのスペースに変換できるものだ。

「チケットの価格が上昇しても、より上質な体験と快適さのためなら、喜んで対価を支払う層が市場には一定割合存在する」とフィオール氏は分析している。

※ドル円換算は1ドル159円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳·編集しました。