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JTB、新社長に青海氏が内定、長期ビジョン推進を担う、山北氏は会長に、6月30日付で

JTBは2026年4月24日に開催した取締役会で、次期代表取締役 社長執行役員を内定した。6月30日付で、新社長には青海友(あおみ とも)氏(現常務執行役員 長期ビジョン戦略推進担当)が就任する。現社長の山北栄二郎氏は代表取締役会長に、現取締役会長の高橋広行氏は相談役にそれぞれ就任する予定だ。6月30日開催予定の株主総会、取締役会での承認を経て正式に就任する。

新社長となる青海氏は、1993年に日本交通公社(現JTB)に入社。JTBコミュニケーションデザイン、JTB法人営業本部などを経て、2021年からJTB執行役員、取締役兼常務執行役員CSOとしてコロナ禍の経営課題や新規事業創出を推進。2024年4月から2025年12月までJTB Americas取締役社長、2026年1月にJTB常務執行役員 長期ビジョン戦略推進担当として昨年発表された同社の長期ビジョンを具体化する役割を務めてきた。

社長交代の発表にあたって開催された記者会見で、青海氏は、AIの進展で暮らしが変化するなか、リアルな交流とデジタルの利便性を掛け合わせることで「交流の力」はさらに大きくなるとの考えを示し、JTBの経営理念である「地球を舞台に、様々な交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する」ことを追求していく決意を表明した。

山北氏は、社長に就任した2020年6月30日からの6年間の任期を総括した。就任直後からコロナ禍に直面し、危機を乗り越えるために資金調達や資本増強、固定費削減による損益改善、国内外の拠点見直し、DX推進など、多岐にわたる構造改革を実行。その結果、2023年3月期には大幅な黒字転換を達成し、成長軌道への復帰を果たした。その後も積極的な投資を継続し、「スピード感をもって成長軌道に乗せることができた」と振り返った。

そして、長期ビジョンを策定した節目のタイミングでの社長交代については、「基盤が整ったタイミングでバトンを渡す。2035年に向けて強いリーダーシップで引っ張っていただきたい」と期待感を示した。

2035年に向けた「長期ビジョン」への対応

また、会見では先ごろ同社が発表した2035年に向けた長期ビジョン「OPEN FRONTIER 2035」の実現に向けた方針も示された。このビジョンでは、2035年に「グローバル:日本」を50%:50%、「人流に依存しない事業:人流に依存する事業」を25%:75%に、「継続的に収益を得るストック型:フロー型」を30%:70%とする目標を掲げている。

青海氏は、ビジョン達成のための戦略として、まずJTBの強みである「顧客の期待に応えたい」という社員の想いや現場対応力を、デジタルとAIの活用によってさらに強化していく考えを示した。グローバル比率向上のために、世界横断で強化する領域としてランドオペレーター、ミーティング&イベント、ビジネストラベル、スポーツホスピタリティ、ツーリズムインテリジェンスをあげた。

新社長に就任する青海氏

国内市場では、マーケティング戦略の刷新、AIやIP(知的財産)への投資を強化する。また、「地域軸での体験創造」と「グローバル事業」のつながりを強化すること、さらに国内の商事・金融事業や海外で獲得した情報インテリジェンス事業など、新たな事業の多角化と成長を牽引していく考えを語った。

会見の終盤で青海氏は、JTBの財産について「顧客に貢献したいという社員のメンタリティであり、言葉にならない顧客心理を読み解く『人の力』を磨き続けることが重要」と語り、目指す企業像については「たくさんの方々から愛される会社であり続けたい」と力を込めた。

なお、現在の中東情勢の影響に関する質問に対して、青海氏は影響は当面続くと想定し、顧客への適時適切な情報提供と安心できるサービス提供に努めると回答。経営的には一定のダメージを想定せざるを得ないとし、旅行以外の事業育成とコスト構造の柔軟性を高める必要性があると語った。