MVホンディウス号で乗客3人がハンタウイルスで死亡し、フランスのボルドーに停泊中の英国のクルーズ船ではノロウイルスの集団感染が発生した。それでも、クルーズ業界は、こうした事態がクルーズ旅行の人気上昇を鈍化させる可能性は低いと見ている。
業界団体である国際クルーズライン協会(CLIA)は2026年4月中旬、2026年のクルーズ旅行者数が前年比4%増の3830万人となり、過去最多を記録するとの予測を発表している。
MVホンディウス号を所有するオランダのオーシャンワイド·エクスペディションズ社は、今後の運航に変更はないと発表。5月29日にアイスランドのケフラヴィーク港からクルーズ船を出航させる予定だ。
旅行会社比較サイトCruiseCompete.comのボブ·レビンスタインCEOによると、5月前半の客室予約数は前年同期比で31.7%増加したという。
レビンスタイン氏によると、混雑した環境で蔓延する非常に感染力の強い胃腸炎であるノロウイルスについて、米国疾病対策センター(CDC)は、乗客の3%以上が症状を訴えた場合、船舶にその事実を公表することを義務付けている。
しかし、レビンスタイン氏は、乗客5000人の船で、乗客の3%が病気にかかったとしても、「大多数の乗船者は全く気づかないだろう。経験豊富なクルーズ客なら誰もが知っていることだ」と話す。
クルーズ旅行は通常少なくとも乗船の6ヶ月前、場合によっては1年前から予約されるため、現在のニュースが乗客のクルーズ参加の意思決定に影響を与えることはほとんどないとみている。
回復力の強いクルーズ旅行
スイスに拠点を置くクルーズ会社バイキングは、中東情勢の緊迫化によってリバークルーズの需要は一時的に低迷したが、その後すぐに回復したと明らかにした。バイキングによると、2026年のクルーズの92%、2027年のクルーズの38%が予約済みだという。
CLIAによると、中国と日本からのクルーズ客数は、コロナ禍以前と比べて依然として減少したまま。しかし、クルーズ業界アナリストでペース大学ルービン·ビジネススクールのアンドリュー·コギンズ教授は「他の地域では需要が急増している」と話し、「2037年まで新造船の発注が続く。クルーズ会社は強気だ。需要の伸びを見込んでおり、新たなサービス、新たな寄港地、新たな目的地を提供したいと考えている」と続けた。
クルーズ旅行の成長の理由の一つは、世代や所得層を問わず幅広い層にアピールできる点にある。バンク·オブ·アメリカが最近行った米国での調査によると、Z世代とミレニアル世代の回答者が最もクルーズ旅行を好む傾向にあることが分かった。
また、調査によると、低所得世帯では航空運賃や宿泊費の支出が減少している一方で、クルーズ旅行への支出は増加した。クルーズ会社は近年、より短期間で手頃な価格の旅程を提供することで、こうした顧客獲得に力を入れている。
※本記事は、AP通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。