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商船三井クルーズの成長戦略を取材した、新客船を就航、現役世代の開拓や海外総代理店の多拠点化でインバウンド比率30%へ

商船三井クルーズは「MITSUI OCEAN SAKURA」就航前の2026年9月16日、 事業説明・内覧会を開催した。9月19日に就航した「MITSUI OCEAN SAKURA(三井オーシャンサクラ)」(サクラ)は 、クルーズブランド「MITSUI OCEAN CRUISES(三井オーシャンクルーズ)」の立ち上げ後、2024年12月の「MITSUI OCEAN FUJI(三井オーシャンフジ)」(フジ)以来の、新客船となる。

同社は2026年5月に「にっぽん丸」の運航を終了。今後は「フジ」と「サクラ」の2隻体制で運航する。ラグジュアリークルーズライン「シーボーン」の同型客船をリブランドした両船だが、当面は船籍の違いをいかし、異なる旅程や客層を取り込んでいく方針だ。

日本船籍で、国内の港だけを結ぶ旅程が可能な「サクラ」は、1~3泊程度のショートクルーズを中心に運航する。一方、外国船籍の「フジ」は海外寄港地を含む旅程を展開する。1週間前後の日程となる「フジ」では時間と費用に比較的余裕のあるシニア層の利用が多かったが、「サクラ」では30~50代の現役世代など、新たな客層の獲得も図る。

これに向け、顧客との接点も刷新した。特にオンライン販売では、予約から決済までの手続きをスムーズに完結できる仕様にしたほか、クルーズのリピーターに好まれる客室番号の指定予約も可能にした。営業戦略部販売グループ長の野田浩司氏は「早期予約の獲得につながる」と、その狙いを話した。

代表取締役社長の向井恒道氏は、日本のクルーズ人口がまだコロナ前の水準に戻っていないことを「伸びしろ」と捉える。国内での客船の就航や、海外船社による日本への配船も相次ぐなか、「供給側の動きが新たな需要をつくる、市場全体で好循環というモードに入りつつある」と説明。今後の船隊拡張も視野に入れつつ、まずは「フジ」と「サクラ」の2隻を着実に運航することに注力するとした。

代表取締役社長の向井恒道氏

海外に販売総代理店を設置、インバウンド比率「最大30%」へ

もう一つの成長戦略として、海外市場の開拓も本格化する。すでに北米(米国、カナダ)、オセアニア(豪州、ニュージーランド)、台湾、香港に販売総代理店(GSA)を設置。現地に根差したマーケティングや販売活動を展開し、2隻をあわせたインバウンド比率を最大30%程度まで引き上げる考えだ。

野田氏は「日本文化を愛し、クルーズ人口が多い国・地域にGSAを設置する」と説明。ブランドコンセプトである「日本の美しい船旅」に共感する客層の獲得を目指す。

事業説明会では、「フジ」就航後の営業状況も明かした。営業戦略部商品企画グループ長の田中佑典氏によると、就航当初は新ブランドの発足と新船投入への話題性を背景に、高単価と一定の乗船率を確保した。一方、2025年夏には集客が低迷。「2部屋目無料」など大胆な割引施策も期待した効果につながらず、ブランド認知度の低さを痛感したという。

その後、全国での営業活動や船内見学会を重ね、クチコミやSNSでの発信も増加。2026年からは割引に依存しない販売へ転換し「フジ」の販売は就航当初の水準まで回復した。「サクラ」の予約も堅調に推移しており、供給量が倍増する体制での販売に自信を示した。

命名記念式典では、親会社の商船三井代表取締役社長、田村城太郎氏も挨拶を述べた。田村氏は、クルーズ事業を「人や地域を結び、新たな交流と価値を創出する重要な事業の一つ」とし、「グループ総力をあげて、日本のクルーズ産業の発展と海を通じた豊かな社会づくりに貢献していく」と話した。

三井オーシャンフジと同型船だが、「サクラ」だけの設備が2つある。1つは足湯。水着にならなくてもプールサイドを楽しめるように設えた。大きなプールの奥側全室スイートだが、上位5カテゴリ36室を「三六スイート」と呼び、バトラーサービスがつく。写真は上から2番目の「シグネチャースイート」。面積は87平米で最大もう1つの「サクラ」だけの設備「寿司バー潮彩」。にっぽん丸で人気だった寿司バーのDNAを受け継ぐ。船内には「フジ」で提供する三國シェフ監修「北斎FINE DINING」もある船内にはブランド品から船のロゴグッズまでそろうブティックも。就航記念グッズもあった見学会の後は命名式も開催。命名者は「三井オーシャンクルーズ一同」が務めた