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フィジー政府観光局CEOに日本市場戦略を聞いてきた、旅行会社との連携拡大、個人旅行と教育旅行に注力

フィジー政府観光局は、日本からの訪フィジー旅行市場の成長と多様化に向けて、旅行各社との連携強化やオンライン・トレーニングプログラムの刷新など、複数の施策を相次ぎスタートした。このほど来日した同局の最高経営責任者(CEO)、パレシュ・パント氏にそのねらいを聞いた。

写真:「日本市場の2桁成長はチームワークの成果」と話すパントCEO(中央)。新体制を支える同局日本代表を務める根来勇人氏(右)と能登重好氏(左)

人々のホスピタリティ精神を活かし、過ごし方を多様化

フィジー政府観光局は2026年9月上旬、エイチ・アイ・エス(HIS)、JTB、阪急交通社の3社それぞれとの間で、日本市場における旅行需要の創出と持続可能な観光の推進に関する2者間の共同パートナーシップ契約を締結した。商品開発やプロモーション活動などでの連携を強化し、各社の顧客ネットワークを通じてフィジーを訴求することがねらいだ。

また、現地体験や深い交流を求める傾向がますます強くなっている個人旅行および教育旅行マーケットの開拓に力を入れる方針で、こうした分野に強い旅行各社もパートナーに選定した。個人旅行の提携パートナーは、トラベル・スタンダード・ジャパン、旅工房、エアトリ、ファイブスタークラブ、エス・ティー・ワールド、トーホートラベル、カモメツーリストの7社。教育旅行関連の提携パートナーは、日本旅行、東武トップツアーズ、South Pacific Free Bird、林旅製作所、フィジー留学カラーズの5社だ。

パントCEOは、今回の各社との連携について、「日本市場を拡大するという我々の意志を宣言し、長期的なコミットメントを約束するための体系的なアプローチ。各社それぞれビジネス手法や重点方針は異なるが、フィジーはそのいずれにも対応できる。日本からの旅行者数を増やすだけでなく、フィジーでの過ごし方を多様化していく」と話す。

フィジー観光の現在地について、同CEOは「海を楽しむアイランド・リゾートとして他の競合デスティネーションと比較されることが多いが、フィジーが誇る最大の価値体験は、人々が生まれ持っているホスピタリティ精神と笑顔、そこから生まれる安心感と癒し」と説明。ウェディングやハネムーン、女子旅、幼児やシニア連れの家族旅行など、どんな旅行であっても、体験の質を高めるベースがあると自信を示した。

また、観光ホスピタリティ分野で南半球トップクラスの豪州グリフィス大学で、日本からの留学生も多く教えていたことがあるパントCEOは、当時を振り返りつつ「治安が良く、人々が親切で、英語で教育を行っているフィジーは、学びの場としても最適だ。生活費も安価なので、コストの心配もない」と付け加えた。

日本市場は2桁増、フィジー・エアウェイズは季節便で対応

フィジーの外国人旅行者数は、2025年に過去最多を更新する98万6000人超に達し、2026年7月には、初めて単月で10万人を突破するなど成長が続いている。日本については、全体に占めるシェアは小さいものの、「高付加価値の旅行市場であることに加え、目の肥えた、体験重視の旅行の指標となる国」(パントCEO)と評価しており、「マーケットを多様化することは、より多彩なフィジーの魅力開拓につながる」との考えだ。

訪フィジー日本人客数は、ピーク時には4万人だったが、その後、低迷していた。再び拡大基調に転じたのは2024年からで、2026年7月は前年比27.7%増、1~7月累計で前年同期比20%増の5383人と2桁成長で推移している。フィジー政府観光局では、フィジー・エアウェイズが週2便で運航する成田/ナンディ線の供給座席数をもとに、2026年は前年比約1.6倍となる1万4000人を目標に掲げている。

航空アクセスについては「卵が先か、鶏が先かの議論になるが、我々ができることを確実に進めて航空会社の収益向上に貢献したい」とパントCEO。同局が日本向けのプロモーション活動を積極化するのに伴い、フィジー・エアウェイズでは今冬、12月~1月の一部日程で、季節便として週1便を追加する計画だ。燃料サーチャージを徴収していないことも、旅先にフィジーを選ぶメリットの一つという。

日本に最適化したスペシャリスト養成プログラム始動

また、旅行会社のプロに、もっとフィジーを知ってもらうための強力なツールになると期待しているのが、9月1日にスタートしたフィジーのスペシャリスト養成プログラム「Matai Specialist(マタイ・スペシャリスト)」だ。今回、初めて日本語版を開設した。ウェディング、クルーズ、文化体験、食など、幅広い情報を網羅し、旅程作成やセールスに役立つツールも提供する。

たとえば、フィジーでのアドベンチャーといえば、世界第3位の規模を誇るサンゴ礁帯でのダイビングが人気だが、「シガトカ川を高速ジェットボートで疾走する“アドレナリン系”サファリと流域の村で伝統料理を食べるランチの組み合わせなど、色々な滞在を提案するために活用してもらいたい」(パントCEO)。

フィジーで現地の人との交流を楽しんだ旅行者からは、「トランスフォーマティブ(生き方や価値観を深く動かす)な旅だったという感想を聞く。人々の明るいプラス思考ぶりに加え、年長者への敬意や、自然との共生など、日本人旅行者には共感できる部分も多いはずだ」と見ている。

フィジー・スペシャリスト養成の目標人数は320人。ただし「話題作りのためのフラッシュ企画ではない。長く継続すること、アクティブな会員を育てることが重要だ」(パントCEO)。将来的には、フィジーのサプライヤーが日本市場についての理解を深めるために活用するなど、このコミュニティを起点とした様々なプランも練っているところだ。