米エクスペディア・グループは2026年10月28日、旅行の計画から予約、決済、旅行中のサポートまでをAIなどで支援する30以上の新機能・改良機能を発表した。傘下の旅行予約サイトのエクスペディア(Expedia)、ホテルズドットコム(Hotels.com)、バーボ(Vrbo)で展開。各種機能は、まず米国を中心に英語版サイト・アプリで導入される。
今回の特徴は、従来のチェックボックスやフィルターによる画一的な検索、固定的なパッケージ商品の制約をとりはらい、旅行者一人ひとりの希望に合わせて柔軟に旅行を組み立てられるようにしたことだ。日常的な言葉で希望を伝える自然言語検索、複雑な旅程に対応するパッケージ予約、複数の客室タイプの一括予約などを実現。さらに、AIによる観光・飲食体験の提案や宿泊施設の比較、問い合わせ対応まで、旅行の各段階でパーソナライズを進める。
自然言語で宿泊施設を検索、複雑な旅程も柔軟に予約
宿泊施設の検索では、ホテルズドットコムとバーボに「自然言語検索(Natural Language Search)」を導入した。従来の検索条件を個別に選択する方法とは異なり、利用者が日常の言葉で希望を入力すると、AIがその内容を理解し、条件に合う宿泊施設を提案する。
例えばバーボでは、「ハワイのビーチ沿いで、設備の整ったキッチンと屋外の集まりに使えるスペースがある家」といった複合的な条件を文章で指定できる。検索結果では、それぞれの施設が希望に適している理由も説明する。
エクスペディアでは、航空券、宿泊施設、レンタカーを組み合わせるパッケージ予約の柔軟性を高めた。例えば、到着する都市と宿泊する都市が異なる旅程や、旅行期間の一部だけホテルやレンタカーを利用する旅程にも対応。従来のように、すべてのサービスを同じ日程・場所で組み合わせる必要がなくなり、複雑な旅行計画にも対応する。
また、家族やグループ旅行向けに、同じホテル内で異なる客室タイプを組み合わせて予約する「複数客室予約(Multi-room booking)」機能も導入。例えば、両親にはキングベッド付きのスイートルーム、その他の家族にはオーシャンビューの客室を選び、まとめて決済し、1つの旅程として管理できる。
さらに、家族旅行向けの地図機能では、ビーチ、公園、レストランなどの周辺情報を確認しながら宿泊施設を選べるようにした。
旅行中の体験提案から宿泊施設の比較、問い合わせ対応までAIを活用
旅行予約後の計画づくりにもAIを活用する。
エクスペディアの新機能「Activity Planner」は、旅行者との対話を通じて、予約済みの旅程や好みに合わせた観光アクティビティ、レストラン、イベントなどを提案するもの。予約可能なツアーに加え、散策や無料で楽しめる体験なども紹介する。気に入った候補を保存し、日ごとの旅行プランに組み込むことができる。
宿泊施設の比較では、ホテルズドットコムの「AI Compare」を強化した。候補に挙げた複数のホテルについて、立地、設備、料金、キャンセル条件などを、利用者が重視する項目に沿って比較する。追加の質問にも自然な文章で回答し、それぞれの施設の違いや選択する際の判断材料を示す。
また、エクスペディアとホテルズドットコムでは、宿泊施設について具体的な質問ができる「Property Expert」を提供。AIが施設情報や宿泊者のレビュー、予約内容などをもとに回答し、予約前の比較検討だけでなく、予約後の確認にも対応する。
バーボでは、AIを活用した音声対応機能「AI Voice Agent」を導入。一般的な問い合わせに音声で対応し、必要に応じて有人オペレーターに引き継ぐ。その際には、それまでの会話内容も共有することで、利用者が同じ説明を繰り返す負担を減らす。
決済面では、対象となるバケーションレンタルを予約時の支払いなしで確保できる「Book Now, Pay Later(BNPL)」を今後導入する予定だ。グループ旅行で参加者の確定や費用の分担に時間が必要な場合にも、柔軟に対応できるようにする。
このほか、各サイトのトップページも刷新。旅行先を検討している段階から予約済みの旅行の準備、旅行中の管理まで、利用者の状況に応じて、おすすめ情報や必要な操作を表示する。
同社の最高製品責任者(CPO)であるシルパ・ランガナタン氏は、旅行にはさまざまな意思決定が伴うとしたうえで、旅行者が十分な情報をもとに判断し、柔軟性と価値を得られるよう、旅行の各段階でAIを活用したサービスを構築していると説明。必要な場合には、AIでの対応内容を引き継いだ有人サポートも提供するとしている。
なお、自然言語検索は米国のホテルズドットコムとバーボの英語版ウェブサイト・アプリで提供。Activity PlannerやAI Compareなども米国市場を中心に展開している。