ITBベルリン2024、今年の最も注目されたのは「生成AI」、気候変動や地政学リスクへの懸念も 

Messe Berlin GmbH

2024年3月5~7日、メッセ・ベルリンによる旅行観光産業の見本市「ITBベルリン」がドイツで開催された。現地の一部交通機関によるストライキの影響が心配されたものの、来場者数は前回をやや上回る約10万人、出展者は170カ国から5500人となった。

メッセ・ベルリンのドクター・マリオ・トビアスCEOは「参加者からは、パンデミック後の特需にとどまらず、引き続き、旅行需要が好調に推移していることが明らかになり、会場は終始、活気にあふれていた。インフレや高騰するエネルギー費による打撃も感じられない」と話した。

また、世界各地から集まったバイヤーを対象に実施した景況感などに関する調査「グローバル・トラベル・バイヤー・インデックス」の結果でも、今後6か月の旅行需要について、全般的に明るい見通しが示されたという。

3日間の会期中には、旅行見本市に加えて、国際会議「ITBベルリン・コンベンション」も同時開催。市場動向や最新イノベーションなど17のテーマについて、計200の講演やパネル・ディスカッションなどが行われ、400人のスピーカーが登壇した。

AIに関心集まる、膨大なデータが強み

同コンベンションで最も関心を集めたトピックスは「AI(人工知能)」となり、企業や組織にとって、AIを無視することはもはや不可能との見解で一致した。

登壇者の一人、ブッキング・ホールディングスのグレン・フォーゲルCEOは、旅行プランニングの手伝いから旅行中の様々な困りごとへの対応まで、「(人間のスタッフよりも)膨大なデータを読み込める生成AIの方が、顧客とのコンタクト・ポイントとなってアドバイスできることは多い」とコメント。同社では、蓄積した機械学習データにチャットGPTを組み合わせた「AIトリップ・プランナー」を使い、ユーザーに宿泊施設やデスティネーションのお勧め情報を提案していると話した。

ブッキング・ホールディングスのグレン・フォーゲルCEO(写真:Messe Berlin GmbH)

フォーカスライトのチャルタ・ファドニス上級副社長は、AIやパーソナル化した旅行アプリがますます重要になるなか、将来的な濫用や不正防止策として、ブロックチェーン技術の活用が必要だとの考えを示した。

旅行需要の本格回復が注目される中国マーケットの変化について、トリップ・ドットコムのシュベルト・ロウCOOは「ショッピングより体験重視」と指摘。AI活用により、一層、パーソナライズされたサービスや体験が求められるようになるとしている。

人材不足や「気候正義」にも注目

そのほか、参加者からの関心が高かった話題は、スキルある人材の不足と気候正義(気候変動対策における公平性や弱者救済)に関する問題だった。

トラベル・ファンデーションのジェレミー・サンプソンCEOは、持続可能なツーリズム実現に向けた航空業界への規制など、6分野・40項目をまとめた「Envisioning Tourism in 2030 and Beyond」を紹介。ホテルのグリーン・トランスフォーメーションを取り上げたパネル・ディスカッションでは、ベルリン経済法科大学の教授で、持続可能性研究所を率いるサンドラ・ロホノフスキー教授が、ババリア地方のホテルによる森を活用した二酸化炭素削減の取り組みについて報告した。

一方、ウクライナとロシアの戦争に続き、イスラエルとパレスチナの紛争が勃発、地政学的なリスクへの懸念も深刻になっている。メッセ・ベルリンのトビアスCEOは、今回のITBベルリンのスローガンを引用しつつ、「一緒に(Together)」取り組むこと、コミュニティ単位での行動が、旅行産業が抱える様々な課題解決には欠かせないと訴えた。

次回のITBベルリンは2025年3月4~6日に開催される予定。

写真:Messe Berlin GmbH

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