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2016年のIT市場予測、「第3のプラットフォーム」活用で新ビジネスが本格的に ―IDCジャパン

IT分野の調査を行うIDCジャパンはこのほど、2016年以降数年間の技術動向や企業の動きをとりまとめたIT市場予測レポート「IDC FutureScape:世界と国内のIT市場 2016 Predictions」を発表した。市場規模や動向に影響を与える複数の項目(キードライバー)を設定、それぞれの観点からの予測を示すもの。

その中で同社は、企業活動において特に重要となる要因を、「第3のプラットフォーム」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉を使って強調。これまでと異なる概念をもつITプラットフォームを使って新たな価値や優位性を生み出す「DX」の市場規模の成長が今後加速し、2017年末までには国内企業のIT投資額の3分の1以上、2020年には45%がこの取り組みに費やされるようになると予測。企業に求められることは、「いかにDX活動に取り組み、顧客数、販売地域、商品・サービス出荷量といったアウトプットを通じてDXエコノミーの市場規模拡大を牽引できるか」であるとしている。

"第3のプラットフォーム"とは、同社がITの世界の変遷を表すために用いる用語。「モビリティ」「ソーシャル」「ビッグデータ」「クラウド」の4つの要素によって構成されるもの。その存在によって人々の生活だけでなくビジネスモデルに大きな変化がもたらされる。

例えば、2015年に第3のプラットフォームを使って社会変化をもたらした企業の代表としては、タクシー配車サービス「Uber(ウーバー)」、個人宅レンタルサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」、ECサービスをはじめ物流や電子決済システムを広く手掛ける「Alibaba(アリババ)」などがあるとする。

一方、"デジタルトランスフォーメーション(DX)"とは、第3のプラットフォーム技術の活用により、「新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」。

2015年まではIT開発者中心の「イノベーションステージ」であった状態が、2016年に次のステージに移行。これまでにない速いペースでその規模と範囲を拡大して、開発者のみならず、あらゆる業界の企業にその影響が本格的に波及。海外大手企業を皮切りに、「DXエコノミー」分野のリーダーシップ獲得を目指す活動が開始されると予測する。

IDCのレポートで提供されている「キードライバー」とその予測の概要は以下のとおり。

  1. デジタルトランスフォーメーション(DX

    2017年末、Global2000企業のCEOの3分の2が、企業戦略の中心に「DX」を設定するようになる。

  2. 第3のプラットフォーム技術

    2017年、日本国内企業のIT支出の3分の1以上が「第3のプラットフォーム技術」「ソリューション」「サービス」に充当されるようになる。また、2020年には45%に到達する。

  3. クラウドコア

    2017年、国内IT支出額におけるクラウド関連費用の割合が2割以上に。2020年にはITインフラ支出の3割以上、ソフトウェア・サービス支出の4割以上が該当するようになる。

  4. イノベーションキャパシティ

    2018年、DX戦略を積極的に追求する企業では、ソフトウェア開発能力が現在よりも倍増。プログラマーの3分の2が「戦略的DX」関連案件を手掛けるようになる。

  5. 社内外をつなげる「データパイプライン」

    2018年、DX戦略を積極的に追求する企業では、外部から流入するデータソース量が3~5倍以上に増加。市場へのデータの配信量は、100倍以上となる。

  6. IoT/インテリジェントエッジ

    2018年、国内のIoTデバイスの設置台数が国内市場で9億台に到達。新たなIoTアプリケーション/サービス開発案件は20万以上となる。

  7. あらゆるものの認知サービス/システム

    2018年、過半数以上の開発チームが、何らかの「認知サービス」をアプリケーションに導入(現在1%未満)。2020年に、「認知システム」が米国企業にもたす生産性向上効果は、年間600億ドルを超える。

  8. 産業特化型クラウドプラットフォームとコミュニティ

    2018年には半数以上の大企業が、「産業特化型クラウドプラットフォーム」を開発または導入。自社のイノベーションの流通、他社のイノベーションの調達に活用する。

  9. 大規模な「親顧客戦略」

    2018年、B2C企業の8割、B2B企業の6割が「デジタルフロントドア」を見直す。それによって、現在の1000倍~1万倍となる顧客や顧客接点をサポートできるようになる。

  10. サプライヤーとのパートナーシップの再検討

    2020年には、現在存在するITサプライヤーの3割以上が市場から姿を消す。企業はパートナーシップを組むベンダーとの関係を再検討すべき。

レポートの詳細は以下まで。