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JR東日本が新興企業とビジネス共創に本腰、エキナカや訪日、沿線事業などでIT活用の新サービスを推進

東日本旅客鉄道(JR東日本)は、駅や鉄道、グループ事業の経営資源や情報資産を活用した新たなビジネス・サービスについて、スタートアップとの協業に力を入れる。

2017年4月には「JR東日本スタートアッププログラム」として、ベンチャー企業などを対象にプランを募集。採択企業を発表した。プランでは、協業によるテストマーケティングを行なう「アクセラレーションコース」と事業構想の具体化を目指す「インキュベーションコース」の2部門を設定し、計237件の提案が寄せられた。

このうち「アクセラレーションコース」では133件の応募の中から、「駅の新業態」「インバウンド」「暮らし・健康」「ICT&Fintech」で計11社を採択。JR東日本では先ごろ、2026年度までの次の10年間に生活サービス事業に注力し、現在の1.5倍に拡大する成長ビジョンを発表しており、今回採択された11社とのテストマーケティングのなかには、ビジョンで掲げられている施策と同様のプランもあった。

採択されたスタートアップ11社:発表資料より

例えば、同ビジョンの新規事業に「無人店舗の実現に向けた実証実験の展開」があるが、今回発表されたテストマーケティングには、サインポスト社とのAI無人決済システム「スーパーワンダーレジ」を組み込んだエキナカ店舗がある。客が棚からとった商品をAIが把握し、自動的に合計金額を算出。交通系電子マネーで列に並ばず、短時間に決済するものだ。

また、「混雑状況ワンストップ伝達サービス」は、その名称と同じプランが、バカン社との協業で行なわれる。これは、同社の画像認識技術で駅ビルやエキナカの飲食店や緑の窓口の混雑状況を、デジタルサイネージや利用客のスマートフォンに表示するもの。デジタルサイネージ上には、スマホで読み取ることでクーポンを発行するQRコードも掲示する。

これ以外にもインバウンドの施策では、「手ぶら観光の実現に向けたオンラインクローク予約サービス」があり、テストマーケティングでもオンラインクローク予約サービス「ecbo clock」が採択。このほか、方針として「訪日外国人に向けたサービス向上、東北・上新エリアへの送客施策、海外への情報発信強化」なども記載されており、訪日客に無料SIMを配布する「WAmazing」や、訪日客と日本人ガイドのマッチングサービス「Huber」も選ばれた。

なお、インキュベーションコースには104件の応募の中から、8件を採択。11月17日には、両コースの計19件のなかから最優秀賞と優秀賞を決定し、受賞者は後日、ホームページで発表する。受賞者には賞金として、優秀賞は10万円、最優秀賞には100万円を贈呈する。同プログラムの詳細はJR東日本のホームページへ。