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トリップアドバイザー、新型コロナ対策で新機能を続々、旅行者の旅行再開時期を聞いた調査結果も公開

トリップアドバイザーは、ウェビナー形式でメディア説明会を実施し、新型コロナウイルス対策で拡充した機能や今後の取り組みについて発表した。同時に、4月に実施した新型コロナウイルスに関する旅行市場動向調査や2019年の訪日外国人のクチコミトレンドをまとめた「インバウンドレポート2020」について説明した。

日本人の国内旅行再開は1年以内が61%、海外は1年先が大部分

旅行市場動向では、オーストラリア、シンガポール、イギリス、アメリカ、日本で過去2か月以内に旅行を経験した意思決定者に各国400名に新型コロナウイルス収束後の旅行再開のタイミングを聞いている。

日本人旅行者を対象とした調査では、国内旅行を再開する時期について、61%が「1年以内」と回答。「半年以内」も34%となった。しかし、海外旅行では「1年以上先」が87%と大部分を占めた。また、次回の旅行先については、「自宅から90分以上」が34%、「国内線を利用」が23%となり、遠出を希望する人が半数を超えたことも分かった。

報道資料より報道資料より

報道資料より一方、外国人旅行者を対象とした調査では、次回の旅行先としてシンガポール、オーストラリア、イギリスで20%以上が「5時間以上の海外」と回答。シンガポールでは、「3~4時間の海外 (41%)」も含めると、70%近くが海外旅行を望んでいることが分かった。また、再開のタイミングについては、「1年以内」との回答がシンガポールでは70%、イギリスではおよそ60%にのぼった。

この結果を受けて、トリップアドバイザー日本法人の代表取締役・牧野友衛氏は「人にとって旅行は引き続き重要なもの。新型コロナウイルスが一段落すれば必ず需要は戻ってくる。日本の観光・旅行事業者は、まず国内旅行をどうしていくかを考えることが大事。インバウンドについては将来確実に戻ってくるので、現在はそのときまでの準備期間として考える方がいいのではないか」との見解を示した。

最新インバウンドレポートを発表、クチコミ件数とソフト面の評価で課題

2019年のインバウンドにおけるクチコミを分析した「インバウンドレポート2020」については、シニアリサーチマネージャーの櫻井泰斗氏が説明。現在、新型コロナウイルスによってインバウンド需要が止まっている状況だが、「将来を見据えて、活用して欲しい」と呼びかけた。

都道府県別のクチコミ件数上位は、前年と変わらず東京、京都、大阪、北海道、沖縄で、この5都道府県で全体の約66%を占めた。特徴的な点は、山形、岩手、秋田などの東北で前年比30~50%増加していること。これについて、櫻井氏は「広告戦略の効果が出た結果」とした。

また、欧米豪旅行者のクチコミから見える日本の課題も指摘。たとえば、アジアにおいて日本は情報収集量では2位だが、実際のクチコミ投稿数では5位に下がる。1位はどちらもタイ。「欧米豪にとって日本は興味の高い目的地だが、効率的にクチコミを獲得できていない」と櫻井氏。店頭にステッカーを貼るだけでなく、施設のアンケートと同時にトリップアドバイザーへクチコミを依頼すること、会計の際のトリップアドバイザーのマネークリップを置くことで、クチコミを喚起させるなどの取り組みを勧めた。

このほか、欧米豪の旅行者によるクチコミ評価の平均点では、日本は宿泊施設、飲食店、観光/アクティビティとも他のアジアよりも低くなっている。これについて、櫻井氏は「ハード面の評価は高いが、人を介したソフト面で改善の余地があるのではないか」と分析した。

インバウンドレポート2020

コロナ禍に対応する新機能を拡充

また、同社ではコロナ禍においても機能拡充を展開している。

具体的には飲食店向けにテイクアウトやデリバリー営業の告知を無料で設定できる機能を日本語版でも追加したほか、ギフトカードなどの販売表示も可能にした。牧野氏は「新型コロナウイルスの感染拡大で世界の都市でロックダウンや外出自粛が行われているなか、大きな影響を受けている飲食店を支援する取り組み」と説明。すでにアメリカなどでは導入されていたが、日本でのサービスも開始した。

また、利用者に対しては、レストランページのフィルター機能を使うことでテイクアウト、デリバリー、ギフトカードを提供している飲食店の検索が行えるようにした。現在のところ、トリップアドバイザーに掲載されている飲食店のうち、約3万軒がテイクアウト・デリバリーを提供しているほか、ドライブスルーで購入可能な飲食店も4000軒ほどあるという。

宿泊施設のサポートとしては、日本でも医療従事者向けの宿泊サポートプログラムを開始する。これは、医療従事者と宿泊可能な施設とをマッチングするプラットフォームで、トリップアドバイザーに掲載されているすべてのタイプの宿泊施設が参加することができる。

さらに、クチコミガイドラインも変更した。通常、削除対象となるクチコミは、機会的な処理の後に人的なマニュアル確認を行うが、新型コロナウイルス関連のクチコミについては、すべて人的にマニュアル確認する。

今後の取り組みでは、5月1日~6月30日にかけて、「きっと行く旅リストキャンペーン」を展開する。これは、新型コロナウイルス終息後に行きたい国内の場所や施設を旅リストに保存して公開するキャンペーン。公開した人の中から、毎月抽選で将来使えるチケットやグッズをプレゼントする。

このほか、トリップアドバイザーとしては初となる事業者向けウェビナーを5月中旬~下旬に開催予定。トリップアドバイザーの活用方法などを紹介する。