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米国旅行市場2019総括、旅行の5分の1がOTA経由で予約 ―フォーカスライト調査

世界的にシェア拡大が続いてきたオンライン旅行会社だが、その成長ペースには一服感が漂う。コロナ禍以前の2019年は、それでも米国市場における強さは健在だった。フォーカスライトのリサーチ「米国OTA調査2019:マーケット規模と全体像」によると、2019年の米国におけるOTA総取扱高は780億ドルとなり、前年実績の720億ドルより7%増だった。米国における旅行の5分の1がOTA経由で予約されたことになる。そして、このうち多くを占めるのが宿泊サービスだ。

オンライン経由での流通規模は、航空、ホテル、クルーズ、レンタカーなど商品セグメントによってかなりの差がある。

マリオット、IHG、ヒルトン・ワールドワイドなど大手ホテルチェーンは、顧客ロイヤリティプログラムを強化することで、利用者を囲い込み、直接予約を増やそうとしてきた。だが、こうした有名ブランドの他にも、中小ホテルが多数、存在しているのがホテル業界の特徴であり、航空会社やレンタカーとの違いでもある。

数多くある宿泊サービスの選択肢を、一か所でまとめて比較検討できる方が、旅行者にとっては便利だ。特に若い世代になるほど、テクノロジー利用に慣れていて、価格にはシビアだが、ブランド価値には懐疑的な傾向がある。結果として、コロナ禍前の2019年ホテル予約のシェアでは、OTAとホテル直販がほぼ半々の状態で拮抗している。

オンライン予約における業種別のOTA対サプライヤー直販のシェア比較

これとは対照的に、航空券の場合、サプライヤー直販の比率は、5分の4ほどと圧倒的だ。そもそも米国の航空券マーケットの大部分は、わずか3社の航空会社にコントロールされている上、自分が住むエリアから発着する航空路線となると、さらに選択肢は狭くなる。別料金が設定されたアンシラリー・サービス(付帯運賃)や、これをセットした運賃ブランドなどの存在も、この要因のひとつと言えるだろう。