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観光需要回復への政策プランを決定、GoToトラベルは6月末まで延長、インバウンドは小規模分散型ツアーから試行実施へ

国土交通省の赤羽一嘉大臣は2020年12月4日、政府の観光需要喚起策「GoToトラベル」について、2021年1月末に迎えるキャンペーン期限を6月末をめどに延長すると明らかにした。事業は11月15日までに少なくとも約5260万人泊が利用し、国の割引支援は3000億円を超えている。

GoToトラベルの延長について、赤羽大臣は「GoToトラベルがなければ廃業したといった事業者からの声も少なくなく、着実に結果がでている。感染拡大防止策の徹底を大前提として、政府内で調整しながら制度を段階的に見直しながら延長することを基本の想定としたい」と述べた。菅義偉総理大臣も12月3日出席した「第41回観光戦略実行推進会議」の議論を踏まえ、「GoToトラベル事業を延長し、感染状況や旅行需要を踏まえながら運用を行っていく」と発言。さらに、国が前面に出て、ホテル、旅館、観光街を再生するため、新たな補助制度を創設すると強調した。

新たな補助制度は、全国100程度の施設を国内外の観光客が楽しめるようリニューアルする費用を国が負担。また、街中に残る廃屋を撤去し、同じ街の複数宿が1つのホテルとして運営するような取り組みを支援する。スノーリゾート、日本独自の食文化を体験できるコンテンツとして城泊、寺泊、農家の古民家での宿泊体験、長期滞在プログラムの開発も支援する。

観光需要回復への政策プランを決定

また、同日の観光戦略実行推進会議では「感染拡大防止と観光需要回復のための政策プラン」を決定。具体的には、観光産業に全国で約900万人が従事し、雇用維持、事業継続が極めて重要としたうえで、GoToトラベル、ワーケーションを通じた国内観光需要を喚起する。

一方、インバウンドについては、国内外の感染状況を見極めつつ、感染が落ち着いている国・地域からビジネストラックに準じた防疫措置を徹底した形で、小規模分散型パッケージツアーを試行的に実施する。日本政府観光局(JNTO)のウェブサイト、アプリを通じた情報発信やデジタルマーケティング、在外公館によるSNSを含むオンライン媒体での情報発信も強化する。

インバウンドの回復に向けた環境作りについては、赤羽大臣も「明年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見すえ、具体的に魅力的な滞在コンテンツの造成、観光地の受け入れ環境を整備しつつ、観光立国推進のために関係省庁と連携しながら取り組んでいきたい」と発言。地方経済にとって不可欠な観光産業の回復、そして祈願の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、withコロナ時代の感染拡大防止の徹底と観光再生に向けた取り組みが本格化している。