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旅行の価値観の調査、観光に対し「支援意向」が上昇、属性よりも「旅行意向」重視を - リクルート調査

リクルートライフスタイル「じゃらんリサーチセンター」は、「新型コロナウイルス感染症拡大による旅行価値観の変化」について調査を行い、その結果から旅行傾向の変化を分析、旅行市場に対して提言をまとめた。

まず、ライフスタイルの変化に関する調査では、感染症と直接結びついて変化だけでなく、旅や働き方に対する意識や行動までも変わっている結果に。「これから強まりそうな価値観」の調査からは、「身の丈」などが選ばれ、その傾向は「お金の使い方の変化」の調査での「ファッション・車・インテリアにかけるお金が減りそう」という答えからも伺えるとしている。

こうした変化から、価値観のプリミティブ(原始)化が起きていると指摘。そのうえで、こうしたライフスタイルは一時的なものではないと分析した。

また、調査結果から、「これから強まりそうな価値観」では「エコ・地産地消」「自然」「一人の時間」が選ばれていることから、地方でのスローな生活への憧れが高まっており、移住やワーケーションなどの需要を喚起するチャンスとしている。

旅行スタイルでは、三密回避の観点から、「マイカー」での旅が増える傾向にある一方、「飛行機・電車・バス」での移動は減る傾向。さらに、「空いているところ」への旅が好まれ、「都市部」や「団体旅行」が減る傾向も見られるとしていることから、旅の「個人化」がさらに進むと分析。

そのうえで、個人化で選ばれる地域になるためには、地域住民と事業者との関係の重要性を指摘。住民視点と地域視点の両方を取り入れた観光について改めて考え、地域の個性を中心にしたブランディングを行う必要性を提言している。

ターゲティングは属性ではなく「旅行意向」で

今後の旅行意向分析については、世代、性別、年収、居住地などの属性ではっきりとした傾向に分かれていないことから、ターゲティングでは属性ではなく「旅行意向」という視点で分類を行うべきとしている。

また、旅行をしたい気持ちはあったとしても行くと決めた人は全体の3.8%に過ぎない一方、「大きな打撃を受けている観光地や、なじみの宿に対する支援意向」では全体の7割以上が好意的な態度を示し、「過去に泊まった宿やなじみの地域に対する今後の旅行意向」は全体の9割に達している。

支援意向とリピート意向とも、高齢者よりも若者層のほうが高く、旅行意向が高いほど、その傾向は強いという。このことから、支援意向が強まっている今こそ、旅行者獲得のチャンスと捉えるべきだと提言している。

新型コロナウイルス感染症拡大による旅行価値観の変化(PDFファイル 38MB)