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日本の旅行市場の回復、世界的調査会社が予測、2023年にはパンデミック前の水準に、オンライン予約は2019年超えと分析【外電】

消費者の信頼(旅行に対する容認)、国境の再開、そしてワクチン接種のスケジュール。日本の旅行マーケット回復にとって重要なカギになるのが、この3点だ。旅行調査の世界大手・米フォーカスライト社は、このように日本市場を分析している。

さらに、最も楽観的な見通しで、旅行マーケットがパンデミック以前のレベルを超えるのは2023年、続く2024年には、旅行予約高は1195億ドル(約13兆1450億円)と予測。全てうまくいくケースでは、ワクチン接種が2021年夏までに広範囲で進み、感染者数は激減、国内旅行の需要が急増するというシナリオに。それでも海外旅行、特に観光目的の旅行需要が戻るまでは、まだしばらく時間がかかるとみている。

同社が予測する2024年までの日本市場の旅行予約の推移は以下のとおり。パンデミック以前のレベルを超えるとみられる2023年には、オンライン旅行予約が2019年レベルを超える予測だ。

日本市場におけるオンライン旅行予約高の推移(米ドル) 2018~2024年

2つの重要な動向

米旅行調査会社フォーカスライトでは、日本市場で2つの重要な動向があるとしている。日本の旅行市場回復に向けての分析は以下の通り。

1. 航空需要は平常レベルに戻る(ただし国内線)

日系航空各社にとって、ここ一年ほどは国内線が非常に重要な意味を持つようになっている。大手では、健康状態を証明する様々なアプリ活用を活用することで、国境を越える旅行需要の早期回復に取り組んでいるが、国際線の運航規模をパンデミック以前のレベルに戻すためには、さらに多くの労力と政治的な動き、そして世界全体でパンデミックをこれまでよりうまく抑えられる体制が整わなければならない。

当面の間、収益確保は国内線頼みとなり、航空各社はこの状態が短~中期的に続くことを覚悟している。今後、日本国内でワクチン接種が進めば、再び感染爆発が起きて、旅行が制限される事態は回避できるだろう。国内線需要が力強く回復することは、航空各社が受けるダメージ軽減につながり、危機からの脱却を後押ししてくれる。

2. ダイナミック・パッケージが主役に

日本では、以前からよく知られているダイナミック・パッケージ(DP)のコンセプトだが、パンデミックによってこの流れが加速。オフライン旅行会社のオンライン進出やDP商品の新規スタートが増えている。大手のJTBは2020年5月から、国内旅行の新DPブランド「マイスタイル」を発売。2021年は、同社の売上全体に占めるDP比率を約80%にまで高める計画だ。競合するエイチ・アイ・エスでも国内旅行のDP商品に力を入れており、「鉄道+宿泊」のパッケージ商品を拡充している。

近畿日本ツーリストは、観光目的の個人旅行事業をオンライン・プラットフォームへ完全移行し、2020年10月から国内旅行のDP商品を販売開始した。続いて海外旅行でもDP商品を投入する予定だ。旅行の予約需要が団体から個人へとシフトし、オンライン予約が増えるなか、ダイナミック・パッケージは大幅な伸びが期待されており、旅行販売の流通戦略における主軸となる可能性もある。

フォーカスライトの「日本の旅行市場レポート2020~2024」では、こうした注目の市場動向、マーケット特性、流通トレンド、セグメント別の注目企業などを取り上げている。詳細なデータや分析は以下へ。

フォーカスライトの最新レポート:Japan Travel Market Report 2020-2024

※ドル円換算は1ドル110円でトラベルボイス編集部が算出。

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営する「フォーカスライト(Phocuswright)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:Two key developments in Japan's travel market