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旅行業の倒産が2.6倍に、2021年度上半期はコロナ倒産が15件、海外旅行の取り扱い業者の倒産が多発

東京商工リサーチ(TSR)は、2021年度上半期の旅行業の倒産(負債1000万円以上)が前年同期比2.6倍の16件となり、4年ぶりに増加したことを明らかにした。

このうち、新型コロナ関連倒産は15件と全体の93.7%を占めた。

報道資料より負債総額は同91.6%減の23億7400万円で2年ぶりに前年同期を下回った。これは、前年6月には民事再生法の適用を申請した「ホワイト・ベアーファミリー」(大阪府、負債278億円)の大型倒産の反動のため。

原因別の最多は、「販売不振」の14件(前年同期比366.6%増)で、旅行業倒産の約9割(構成比87.5%)を占めた。このほか、「他社倒産の余波」、「事業上の失敗」が各1件。コロナ禍では海外旅行が壊滅的な状況に陥っていることから、海外旅行に特化した業者の倒産が散発している。

負債額別では、最多は5千万円以上1億円未満の6件(前年同期ゼロ)で、全体の約4割(構成比37.5%)。次いで、1千万円以上5千万円未満が5件(同31.2%)で続き、負債1億円未満の小規模倒産が全体の約7割(同68.7%)を占めた。上半期の倒産で最大の負債額は、「ハートフルインターナショナル」で9億5000万円。

従業員数別では、5人未満が12件(前年同期比300.0%増)で最多。旅行業倒産の約8割(構成比75.0%)を占めた。そのほか、10人以上20人未満が2件(前年同期ゼロ)、5人以上10人未満(同2件)と20人以上50人未満(同ゼロ)が各1件。

地区別では、最多は関東9件(同1件)で、旅行業倒産の約6割(構成比56.2%)を占めた。そのうち、東京都が7件(前年同期1件)。このほか、九州3件(同2件)、東北と中部、北陸、中国が各1件。

TSRでは、今年8月に実施したアンケートで、旅行業の約4割(構成比38.2%)が「コロナ禍の収束が長引いた場合、“廃業”を検討する可能性がある」と回答しており、2021年は、過去10年で最多158社が廃業した昨年を上回る可能性があると指摘している。