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ワクチンパスポートの早期デジタル化、年内導入を提言、標準化および互換性確保も ― 運輸総合研究所

運輸総合研究所は、ワクチン接種の進捗や水際対策の緩和など新型コロナウイルス感染防止策の環境が変化していることから、今年7月12日に行ったワクチンパスポート導入および入国時の検疫対応に対する提言について、追補を行った。

同研究所では、第72回運輸政策セミナーを開催し、「ワクチンパスポートの早期デジタル化」「デジタルワクチンパスポートのアウトバウンドへの導入」「デジタルワクチンパスポートの開発」「入国時の検疫対応」の4点について提言を行っていた。

このうち、ワクチンパスポートの早期デジタル化については、「概ね提言の方向に沿って進展しているが、一部対応の改善等更なる深化を望む」と評価しつつ、「年内の導入開始に向け政府を始め関係者において準備中であり、この動きの継続を求める」と追補した。また、「ワクチン・検査パッケージ」の仕組みについては、検査結果を含めて関連する証明を全て提示することが可能な「デジタルワクチンパスポート」を導入するように改めて求めている。

デジタルワクチンパスポートのアウトバウンドへの導入については、多くの国がワクチン接種証明などを要求していることから、アウトバウンド向け活用については、国内向け活用の検討動向や導入時期の変更などが今後発生した場合においても、年内の導入に向けた関係者の準備について継続を求めた。

デジタルワクチンパスポートの開発における標準化および互換性確保については、アウトバウンド向け証明書のICAO VDS-NC規格と国内向け証明書のSMART Health Card規格を想定。両者が共通に使用する接種データについても標準化および互換性確保の取り組みの継続を求めた。

そのうえで、アウトバウンド向けと国内向けの2つの証明書が別々に必要となる恐れがあり、国内各地で自治体の推奨するアプリも続々と導入されていることから、混乱が生じる恐れがあるとして、ガイドラインなどで何らかの方向性を示すことが望ましいと追補した。

入国時の検疫対応については、水際対策の段階的な緩和を評価する一方で、国際旅客移動に関して欧米諸国および一部アジア諸国に比べて、11月8日の緩和後もかなり厳しい制約を課しており、欧米などの規制緩和に反して拡大しているという問題があると指摘。また、ワクチン接種証明書への医師の署名義務や陰性結果証明書への検査方法明記義務など、今後デジタル化などを通じて他国の証明書を活用する際にも障害になる可能性があることから、防疫上の要請を損わないという前提で、さらなる調和に向けた取り組みを改めて求めた。