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東京メトロがデジタル化で都市内観光に本腰、リンクティビティとの連携で目指す未来とは?(PR)

東京メトロ(東京地下鉄)は、東京都交通局と共同で2021年11月1日から、東京の地下鉄が全線乗り放題になる企画乗車券「Tokyo Subway Ticket」と観光施設の入場券をセットにした商品のオンライン販売を始めた。メインターゲットは、東京を中心とする首都圏在住者だ。

同社は、「City Tourism(シティ・ツーリズム)」構想を掲げ、東京の都市内観光を楽しんでいただく取組みを推進している。このセット販売もその一環だ。Eチケット予約プラットフォーム「リンクティビティ」との連携で実現したセット販売の狙いと、今後を見据えた東京メトロの戦略を聞いてきた。 ※安全に配慮した上で、取材・撮影をしています

東京の都市内観光「シティ・ツーリズム」を推進

東京メトロは、言わずと知れた東京の地下を走る大動脈。全9路線での1日平均輸送人員は、約500万人(2020年度)にも及ぶ。通勤・通学だけでなく、東京観光の足としても重要な鉄道ネットワークだ。

同社は、民営化された2004年頃から観光需要の創出に力を入れ始め、旅行者用の乗車券などを販売。6年ほど前には「需要創出・マーケティング部」を発足し、インバウンド市場の拡大に伴い、訪日外国人向けの施策を打ち出し始めた。その一環として、訪日外国人と地方から東京を訪れる国内旅行者を対象に、「Tokyo Subway Ticket」を販売。コロナ前の2019年は150万券以上を販売し、2020年3月からはリンクティビティのBtoB向けEチケット予約プラットフォームでの取り扱いも始めた。

さらに2021年度の事業計画では、観光を成長戦略の一つとして位置付け、都内観光の需要を創出する「シティ・ツーリズム」に初めて言及した。東京メトロの鉄道本部 需要創出・マーケティング部副主任の西崎紘一郎氏は、「沿線の観光施設と連携し、東京の観光をよりお得に、より便利に楽しんでもらう取り組み」と説明。シティ・ツーリズムでは、首都圏在住者の需要喚起をより強めていく方針だ。

東京メトロ 鉄道本部 需要創出・マーケティング部 副主任 西崎紘一郎氏 ※安全に配慮した上で、取材・撮影をしています

東京メトロが東京観光を掘り起こす意味

その中核事業となるのが、都内観光施設の入場券と「Tokyo Subway Ticket」とのセット販売だ。第一弾として、東京のランドマークである「東京タワー」と「東京スカイツリー」と連携。リンクティビティのプラットフォーム上で組みあわせ、通常価格よりも割安な料金で提供している。

従来の「Tokyo Subway Ticket」と異なるのは、対象を首都圏在住者にも広げたこと。その背景には、やはり「新型コロナウイルスの影響によるお客様の行動変化がある」(西崎氏)。東京メトロの同部課長補佐の板倉良和氏も「コロナ禍で働き方が変わり、テレワークの普及などによって、通勤者が減少した」と説明。「ニューノーマルへの環境の変化や都内の観光施設が新型コロナウイルスの影響を大きく受けている現状は、シティ・ツーリズムに注力するきっかけになった」と話す。

東京メトロ 鉄道本部 需要創出・マーケティング部 課長補佐の板倉良和氏 ※安全に配慮した上で、取材・撮影をしています

2021年度第2四半期の定期券輸送人数は、前年同期比8.5%減。一方で、定期券外の輸送人数は同29%増と大きく伸び、2021年11月に発売を開始した「Tokyo Subway Ticket」のセット販売も「走り出しは好調」(西崎氏)。その後、オミクロン株の感染が拡大したものの、根底では東京の観光需要が高まっていることが推測できる。

東京メトロの沿線には多様な観光資源がある。日本を代表する観光名所はもちろん、都内在住者でも知らない、または行ったことのないスポットは多い。板倉氏は「意外にも浅草で着物を着て散策している人に、都内在住者が多いことがわかった。鉄道事業者にとって沿線の魅力は財産。それを掘り起こしていきたい」と意欲を見せる。

Tokyo Subway Ticketと観光施設のセット販売。お得な価格設定も魅力に

リンクティビティのプラットフォームでさまざまな連携が可能に

リンクティビティは、日本の観光関連サプライヤーと販売元となる国内外の旅行会社やOTAを結ぶBtoB向けチケット予約プラットフォーム。その最大の特徴はQRコードの活用。QRコードでサプライヤーのチケットをEチケット化し、紙ベースの実券では難しかった流通の効率化と利便性を実現している。

東京メトロは2021年度事業計画で、ポストコロナを見据えたキーワードの一つに「デジタル」を掲げており、リンクティビティとの連携に大きなメリットを感じている。東京メトロ同部主任の塩原岳氏は、「企画乗車券のEチケット化についてのシステム構築は当初、自前で整備する議論もあったが、QRコードを活用するリンクティビティと連携をすれば初期投資が少なくて済む」と、リンクティビティと組んだ理由を話す。

QRコードでデジタル販売が可能に。利用者は様々なチャネルから購入でき、地下鉄や観光施設の利用も便利に

「Tokyo Subway Ticket」は、QRコードを券売機にかざしてチケットを受け取り、入場できるようにしている。セキュリティを重視する東京メトロの方針と、他社との繋ぎ込みの難しさなどの課題があったが、リンクティビティの開発チームは、東京メトロの意向を汲んだ上で、3カ月で連携を実現。東京メトロは「セキュリティ上問題がないことを確認した上で、導入を決めた」(塩原氏)。

さらに、塩原氏は「一番の決め手は、リンクティビティが国内外に幅広い販路を持っていることである」と話す。自社でオンライン販売の基盤を構築するのは、開発コストがかかる上、販路開拓のための営業も必要になる。海外販売になると、そのハードルはさらに高い。

それがリンクティビティと連携すれば、そのプラットフォームに載せるだけで販路を一気に広げることが可能になる。現在、リンクティビティが連携する旅行会社や元OTAなどの販売元は、国内外200社以上に及ぶ。

東京メトロ 鉄道本部 需要創出・マーケティング部主任の塩原岳氏 ※安全に配慮した上で、取材・撮影をしています

将来的には東京周遊パスも視野に

シティ・ツーリズムを成長戦略の一つとして位置づける東京メトロ。西崎氏は「当社は東京都内に稠密な鉄道ネットワークを有している。東京観光を東京メトロが盛り上げるという使命感をもって、進めていきたい」と意気込みを示す。

その上で、「シティ・ツーリズムの根幹は沿線の方々との連携。当面の目標は、連携先を増やしていくこと」と話す。都市内観光のニーズを探り、商品性を考えて開拓していく考えで、すでに商業施設のクーポンと組みあわせたセット販売も、独自に開始している。また、リンクティビティがプラットフォームで提携する観光施設やアクティビティなどのサプライヤーとの連携も期待する。

リンクティビティの国内事業提携チームマネージャーの小林美恵子氏は、東京メトロのセット販売について、「エリアの魅力が楽しめる施設との連携を進めたい」と話し、さらに5~10の施設との連携を検討していることを明かした。

また、国内の販路拡大では旅行会社はもちろんのこと、福利厚生サービスなど一般的な旅行販売チャネルとは異なる連携先も増やす考え。すでに都内100軒ほどのホテルもリンクティビティのシステムを導入していることから、「Tokyo Subway Ticketをはじめ、ホテルでの取扱い可能なチケットを増やし、ホテルのサービス向上に貢献したい。従来の紙チケットの買取が不要となるため、管理や精算の作業も大幅に簡易化するメリットがある」と新たな可能性を示す。

さらに、リンクティビティはQRコードをEチケットとし、改札機で読み込ませて乗車を可能にする技術開発の構想を練っている。東京メトロとしても、「これが実現できれば、現状の乗車券への引き換えより旅行者にとって利便性がさらに高まるのではないか」(塩原氏)と期待は大きい。

東京メトロ沿線には魅力的な観光施設や体験が多い。これらを組み込んだ、東京周遊パスのパッケージ商品の造成も視野に入れる。西崎氏は「訪日外国人や地方からの国内旅行者が、一つのパスだけで東京を楽しめるような仕組みができれば面白い」と将来を見据える。

東京メトロは、沿線に広がる“財産”で、東京観光に新たな価値を作ろうとしている。それを、リンクティビティのQRコードと国内外の観光事業者をつなぐプラットフォームが支えている。

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問い合わせ: info@linktivity.co.jp

記事:トラベルボイス企画部