トラベルボイストラベルボイス | 観光産業ニュース 読者数 No.1

観光庁、「サステナブルな旅」を表彰、大賞は「阿蘇温泉観光旅館協同組合」、草原保全の循環モデルを創出

このほど開催されたツーリズムEXPOジャパン2023(大阪)で、「サステナブルな旅AWARD」受賞作品の表彰式が開催された。大賞は阿蘇温泉観光旅館協同組合「『三方良し』の循環モデルの創出」が受賞。準大賞2点、特別賞4点の計7点が選出された。

「サステナブルな旅AWARD」は日本における持続可能な観光を浸透させることを目的として今年から観光庁が創設。2023年4月から8月まで、国内旅行業者を対象に公募を実施した。審査は、北海道大学観光学高等研究センター客員教授の小林英俊氏を審査員長として大学、NPO、メディアなど観光業関係者計8人がおこなった。

表彰式の開会にあたり、観光庁審議官の石塚智之氏は、コロナ禍を経て観光客の意識が変化し、日本国内はもとより、海外の観光客やBtoBの現場でも観光地がサステナブルな取り組みをしているかどうかを重要視している点を指摘。さらに、2023年3月に閣議決定した「観光立国推進基本計画」の基本的な3つの方針の一つに「持続可能な観光地域づくり戦略」が取り上げられていることから、アワード創設の目的を「優良商品を選出することで、『持続可能な観光地域づくり』の取り組みへの指針とビジネスモデルを提示していきたい」と説明した。

大賞を受賞した「『三方良し』の循環モデルの創出」は、人口減により保全が難しくなっている阿蘇国立公園内の草原の一部立ち入り禁止区域を観光地化した取り組み。収益を野焼きなどの草原保全に活用する。阿蘇温泉観光旅館協同組合を中心とした地域が協働でガイドライン作成やツアーガイドの育成、ツアーの造成や費用に対する保全料の組み込みといった仕組みを造成した。

小林審査委員長は、「どの旅行会社でも活用できる仕組みを、地域が作り上げたという点を高く評価したい」と講評した。表彰式に臨んだ阿蘇温泉観光旅館協同組合副理事長の永田祐介氏は「観光をフックにして草原の再生につなげたいと考えた。興味のある旅行会社はぜひ訪れていただきたい」と語った。

アワードの総評では小林審査委員長がサステナブル・ツーリズムには(1)廃線の危機にあるバスなど地域ファクターの保全、(2)観光客、地元住民双方にとってのメリットの創出、(3)インバウンド対策、の意義があるとし、「今回応募のあった作品の中には、すでに外国人客に高い評価を得ているものもあった。サステナブル・ツーリズムへの取り組みは将来的に観光客の地域分散につながり、日本の観光の大きな力になるだろう」と語った。

受賞作品は以下の通り。

大賞 

準大賞 

特別賞