
世界大手ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルは、計7カ国1750人の富裕層を対象にしたラグジュアリー・トラベルに関する意識調査の結果をまとめたレポート「The Intentional Traveler Report」を発表した。この調査は昨年に引き続いて実施されたもので、今回は、オーストラリア、シンガポール、インド、インドネシア、韓国、日本に加え、新たにタイを調査対象国として加えた。
それによると、ウェルネス体験を旅行先選びの重要な決定要因として挙げた旅行者は90%となり、前年の80%から大きく増加した。特に、アジア太平洋地域はウェルネス旅行先として67%の支持を集め、そのうちの26%がウェルネスまたはスパに特化した旅行を計画している。
また、回答者の72%が今後1年以内にラグジュアリー・トラベルへの支出を増やす意向を示した。特に、オーストラリア(85%)、インドネシア(81%)、シンガポール(80%)の旅行者は、プレミアムな旅行体験への投資意欲が特に高いようだ。
さらに、93%の富裕層旅行者が「すでにお気に入りの旅行先を再訪したい」と回答し、89%が「感情的なつながりを感じる場所には再訪したくなる」と回答した。
旅行先では、バングラデシュ(26%)、ニュージーランド(24%)、カンボジア(23%)といった新興国の人気が急上昇。オーストラリア、日本、中国本土といった既存の人気目的地と並んで、2025年の「旅行予定先トップ10」にランクインした。
富裕層旅行者は、旅行回数を抑えつつも、より慎重に旅行を計画する傾向が強まっているという。短期旅行の平均宿泊数は従来の3泊から4泊に。長期旅行では出発の2~3カ月前、短期旅行でも1~2カ月前には予約を完了させるケースが多く見られる。また、93%がパーソナライズされた旅行体験を求めており、62%が「事前にすべての詳細を計画している」と答えた。
調査では、自然を満喫できる体験が、富裕層旅行者の間で新たな関心の軸となりつつあることもわかった。地方部での滞在を計画している富裕層旅行者は28%にのぼり、前年の19%から大きく増加。全体の92%が自然を感じることができることを旅の重要な要素として挙げた。
変わりつつある旅のスタイル、高い目的意識
このほか、調査結果からは、富裕層旅行者の間で旅のスタイルも変わりつつある様子も垣間見ることができる。
ひとり親と子どもの旅行は、5%から24%へと大きく増加。子どもにとって価値ある学びや体験が得られるように旅程が計画され、宗教的イベント(41%)、学習旅行(38%)、サファリやアドベンチャー旅行(いずれも35%)が人気だという。
Z世代の旅行者は目的意識をもち、アクティブな体験を求める傾向。47%が「自然とのふれあい」、45%が「野生動物との出会い」、43%が「スポーツなどの体験型旅行」を重視している。また、5人未満の少人数旅行が最も好まれる一方で、31%が自立や自己発見を目的とした一人旅に関心を示している。
さらに、「ベンチャー旅行者」というカテゴリーが、2025年に入り急速に拡大。富裕層旅行者の86%が「旅行中にビジネスや投資の機会を探っている」と回答し、前年の69%から大きく増加した。