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じゃらん、国内宿泊旅行調査2025を発表、「ひとり旅」拡大で18%、体験・交流志向が増加傾向

観光に関する調査・研究をおこなうリクルート「じゃらんリサーチセンター」は、このほど自治体・DMO向けに「観光振興セミナー2025」を開催した。毎年オンラインと全国各地で開催しているもの。セミナーでは、全国約1万6000人を対象に宿泊を伴う国内旅行(出張・帰省・修学旅行などを除く)の実態を調べた「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2025」の調査結果が共有された。 

※写真は都内で開催された対面の「観光振興セミナー2025 ~地域Meeting~」の様子

その結果によると、2024年度に国内宿泊旅行を実施した人は49.3%で、前年度(49.5%)からわずかに減少した。年代別では、40代以下が前年度から減少。一方、70代は5ポイントほどの伸びを示した。世帯年収別では、年収が高くなるほど実施率が高くなり、年収400万円以上の層では、800~1000万円未満を除いて増加した。年収400万円未満は、実施率が減少傾向だった。

年間平均旅行回数は、前年度とほぼ同じ2.76回。延べ宿泊旅行者数の推計では、1億2775万人回、延べ宿泊数は2億2308万人泊の推計値となり、いずれも前年度から微減となった。

都道府県別で見ると、延べ宿泊旅行者数が最も多かったのは東京都で1154万人。増加幅が最も大きかったのは長野県(+41万人)。次いで北海道(+29万人)、新潟県(+24万人)。増加率で見ると茨城県(+14.2%)、岡山県(+10.0%)、新潟県(+9.4%)の順だった。

旅行費用が上昇、現地消費は若年層の男性が突出

旅行費用については、大人一人当たり1回の旅行の平均は6万4100円で、前年度の6万600円から増加。内訳は宿泊・交通費が3万7000円、現地消費が2万7100円でいずれも上昇した。性・年代別に見ると、総額が最も高いのは70代の女性。特に宿+交通費が高かった。現地消費では、他年代と比較して18~29歳の層が高く、特に男性は3万1900円と突出した。

国内宿泊旅行にかけられた費用総額は、前年度比3.4%増の8兆1867億円と推計。そのうち7兆2721億円を個人旅行が占めた。費目別に見ると、総額のうち、42.4%が現地消費で、3兆4730億円の規模。宿泊旅行実施率は微減したものの、旅行費用の上昇で市場規模は拡大した。

この1年間に国内宿泊旅行に行かなかった理由については、「家計の制約で旅行にお金がかけられなかった」(22.0%)や「将来が心配で支出を抑えたかった」(8.9%)が前年度から微増した。

「ひとり旅」は18%、若年層に高い体験・交流志向

同行形態として最も割合が高かったのは「夫婦2人での旅行」で25.6%。次いで「ひとり旅」が18.0%。性・年代別に見ると、男性が「ひとり旅」の割合が高い傾向にあり、18~29歳、50代では同行形態のトップになった。じゃらんリサーチセンター 主席研究員 森戸香奈子氏は、ひとり旅が目立つようになってきた背景のひとつとして、未婚者の増加を指摘。また、「今後、まだ伸びていくとみている。女性の伸びも続いていることから、日本人の代表的なパターンとなってきた」と分析した。

宿泊旅行に対する意識では、旅行先で人との交流を望む志向が増加傾向にある。なかでも18~29歳の層は男女ともに体験・交流志向が高かった。男性に絞ってみると、30代、40代にも、その志向の高さが見られた。

また、満足度についてみてみると、全年代で前年度より1.7ポイント低下。特に、18~29歳の男性の満足度の下げ幅が最高となり、マイナス4.9ポイントとなった。