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ドイツ・ベルリン、「涼しい夏」で観光客誘致に本腰、熱波が続く欧州で、夏の需要シフトに期待

ドイツの首都ベルリンは、オーバーツーリズムや地元住民の抗議活動もなく、夏も涼しいことを強調し、観光客の誘致に本腰を入れている。ベルリン観光局の報道担当者クリスチャン・テンツラー氏は、「街は広く、人々は分散している。特に夏場はベルリンの住民が出かけるため、かなり余裕がある」とアピールする。最先端のアートやプロイセン王国時代に建設されたサンスーシ宮殿、有名なテクノクラブなどの宣伝にも力を注いでいる。

ベルリン・ブランデンブルク統計局によると、ベルリンの2025年上半期の旅行者数は590万人、延べ宿泊数は1390万泊となり、前年同期比でそれぞれ1.8%減、2.9%減だった。ホテルの平均稼働率は52.8%。コロナ禍前の2019年の旅行者数は1400万人弱、延べ宿泊数は3400万泊で、回復は道半ばだ。

欧州連合(EU)欧州委員会共同研究センターは、観光客が訪れる夏のピークに熱波が響く欧州南部の観光地の魅力が低下しているという調査結果を公表した。一部の観光地は、気候変動の影響を受けて、今後数年間の観光需要が欧州北部へ移行することを期待している。

一方で、キャピタル・エコノミクスの欧州担当エコノミスト、エイドリアン・プレテジョン氏は「この傾向は、今後数年間に続く可能性があるものの、現時点では証拠はない」とし、現時点ではピーク以外の時期への需要シフトしか起きていないと指摘した。

ベルリン観光局のテンツラー氏は、夏場の最高気温が通常25度程度にとどまるベルリンは、涼しい気候を求める観光客に魅力的だと強調。「緑がとても豊かな都市で、水辺や泳げる場所が多く、日陰も豊富だ。今後、これらの要素がより重要になると思う」と話している。

ドイツのホスピタリティ産業が苦境、減税措置の終了で

ドイツのホスピタリティ産業は業績の悪化に苦しんでいる。ドイツ連邦統計局は、2025年上半期のホスピタリティ産業の価格調整後の売上高が前年同期比で3.7%減少したと公表した。レストラン業の売上高は同4.1%減少し、最も大きな打撃を受けた。また、ホテル業も同2.6%減となっている。

この落ち込みは、2024年にコロナ禍中に導入された7%の減税措置が終了し、食品に対する付加価値税(VAT)が19%に完全復活したことが一因とされている。これを受け、ドイツ政府は来年にも減税措置を復活させる計画だ。レストランの業界団体は、減税措置の再導入は多くのレストランにとって生き残りをかけた問題との認識を示した。

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。