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ヨルダン政府観光局、大阪万博を契機に日本人旅行者の誘致に本腰、カタールとの協業で2カ国周遊の枠組み構築へ

ヨルダン政府観光局は、EXPO2025大阪・関西万博への出展を契機に、ヨルダンへの日本人旅行者の誘客に本腰を入れる。万博が開幕して以来、ヨルダン館(写真)では、現地から運んだ砂を素足で歩く砂漠体験が人気を集めている。2019年にヨルダンを訪れた日本人旅行者は約1万3800人。コロナ禍で大幅に減少したものの、2024年は約4200人まで回復し、2025年は7月までで3000人を超えた。

都内で旅行業界向けに開催された「ヨルダン観光セミナー・商談会」で、同局マネージングディレクターのアベド・アル・ラッザーク・アラビヤット氏は、「今年は当初予想の3倍以上になると見ている。日本は数字以上の可能性がある市場」と期待を示した。

日本人旅行者誘客に向けては、新たにカタール政府観光局との協業の枠組みを構築する。現状、日本からヨルダンへの直行便がないことから、カタール航空を利用したドーハ経由での誘客を目指す考えだ。具体的には、ドーハに2~3日滞在したのち、ヨルダンで12~20日過ごす長期滞在型商品の造成を日本の旅行会社に提案していく。

現在、カタール航空は成田発着で毎日2便、羽田発着で1日1便、関西線で週5便運航。ドーハ/アンマン線については、1日4便運航することから、日本から最短で17時間35分でアンマンに飛ぶことができるという。

また、アラビヤット氏は、将来的にはエジプトとのコンビネーションも視野に入れていることを明かした。

アラビヤット氏は、日本人旅行者の趣向についても言及。「文化、歴史、食などに興味が高く、ユニークな体験を求めている。その意味で、ヨルダンは日本人旅行者のニーズに応えることができる」と自信を示し、日本市場向けのプロモーション戦略を策定していることを明らかにした。

具体的には、ペトラ遺跡、死海、ワディ・ラムなど「唯一無二の観光資源」(アラビヤット氏)を訴求していくほか、温泉を含めたウェルネスツーリズムなどもアピール。ヨルダンの多様性、本物性、ホスピタリティを強みとしてプロモーションを強化していく考えだ。

そのうえで、「日本人には一度実際にヨルダンを見て欲しい」と強調。そのためにも、日本の旅行会社とのビジネス関係を構築し、官民一体で日本市場の開拓を進めていく重要性を指摘した。

シュライデ駐日大使(左)とヨルダン政府観光局アラビヤット氏(右)

ヨルダンは日本同様に治安のいい国

一方、ナーセル・シュライデ駐日大使は、カタール政府観光局との協業を進めつつも、「ヨルダンは東西南北に文化的遺産や豊かな自然が広がっており、ヨルダン単独でも十分に楽しめる国」と話した。

また、中東では不安定な状況が続いているが、「ヨルダンは半世紀以上、戦争に巻き込まれておらず、観光客の重大事故もない。王室のもと中東地域でも安定した国として発展してきた」と話し、日本と同様に治安のいい国であると強調した。