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GMOペイメント、世界大手の不正検知サービスを実装、旅行業界など高リスク商材への対策を強化

総合的な決済関連サービスを展開するGMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)は、オンライン総合決済サービス「PG マルチペイメントサービス」に、Forter社が提供する世界規模の取引データにもとづく不正検知サービス「Forter(フォーター)」を実装する。

Forterは、世界30 万社超の導入実績と年間50 兆円規模の取引データにもとづく機械学習を強みとする不正検知サービス。約6000のパラメータと18億超のアイデンティティを活用し、完全自動かつリアルタイムの判定で誤検知を抑えつつ不正を検知。日本のオンライン決済環境に適したルールで全取引をOK・NG でリアルタイム判定し、3DSをかけるべき取引と免除すべき取引を自動で振り分ける。

「PG マルチペイメントサービス」のクレジットカード決済のフローに「Forter」のリアルタイム判定を活用することで、日本国内カード会社の承認ロジックとEMV3-Dセキュア(3DS)の運用にのっとり、リスクに応じた取引ブロックから3DS自動適用までをワンフローで実行。同社では、決済時の「離脱(カゴ落ち)低減」「カード決済承認率の向上」「不正抑止」「業務負担軽減」が同時に実現するとしている。

運用面でも目視審査やルールチューニングへの過度な依存を減らすことから業務効率の改善にもつながるという。

GMOペイメントゲートウェイ・インダストリーソリューション本部第1営業統括部ビジネス企画部部長の財津拓郎氏は、「セキュリティ強化はこれまで売上とトレードオフになっていたが、Forterを実装することでセキュリティという『守り』だけでなく、事業者の売上機会を最大化する『攻め』の施策としていく」と説明した。

(左から)GMO-PGの財津氏、Forter社の野田氏

不正取引が増加する旅行業界

近年、日本国内のキャッシュレス決済拡大に伴い、クレジットカード不正利用も増加している。2024年の被害額は、2019年と比較して約2倍の555億円に達した。セール集中時における盗用番号の有効性を探る少額の連続試行(カードテスト)の紛れ込み、転売目的の高頻度・大量購入、なりすましによるデジタル商材や高額品の購入など、オンラインのクレジットカード決済特有のリスクが顕在化。さらに、不正者は生成AIやAIエージェントなど進化するAI技術での不正行為の効率化・自動化を進めているという。

Forter社日本担当カントリーマネージャーの野田陽介氏によると、単価が高く、インバウンドを含め旅行需要が拡大しているなか、航空会社など輸送機関、宿泊施設など含む旅行業界は「不正なアタックが非常に多い商材になっている」と明かす。

このような状況のなか、2025年4月に義務化された3DSは、なりすましを抑止する効果がある一方で、追加認証などによってカゴ落ちを招く恐れがある。また、不正対策が不十分であれば、不正利用疑いによる取引ブロックが増加して承認率が低下し、逆に過剰であれば、正規取引の誤検知が増加し、結果として売上機会を失うことになることから、事業者には「不正抑止」と「承認率の向上」の両立が必要になるという。

GMO-PGは今後、事業者ごとの承認率をカード会社別・期間別・金額別など多角的に可視化することで、事業者向けにコンサルティングサービスの提供も検討していく考えだ。