オープンイノベーションによる社会課題の解決を目指す渋谷未来デザインは、若者の海外旅行を支援する「Go Global Project」を立ち上げた。日本旅行業協会(JATA)が推進する「もっと!海外へ!」プロジェクトと連携するほか、賛同する16企業・団体とともに、若者の海外体験を後押ししていく。
プロジェクトでは、若者が集まる渋谷を起点に、海外旅行、留学、起業、ボランティア、文化芸術、スポーツなど様々な入口から「海外に挑戦する」体験を支援することに加えて、挑戦をきっかけに若者の成長と社会全体の意識変容が生まれることを目指す。
渋谷未来デザイン事務局長の長田新子氏は、「渋谷という街としてのメディアを使った発信や連携を通じて、観光庁、JATA、賛同企業、大学などを掛け合わせ、新しい海外旅行のモデルをつくっていく」とプロジェクトの意義を説明した。
具体的には、次世代グローバル人材の育成、企業価値の向上とイノベーションの創出、日本の価値の再認識と再定義を目的に、まず第一歩としてパスポート取得を支援していくほか、学生との対話を通じて海外旅行の機運を醸成し、興味関心を喚起していく。
その先の未来として、企業の海外支社でのインターン体験、グローバル人材の発掘、世界で活躍する次世代アスリートの支援、日本企業の国際競争力の向上などを見据える。
各賛同企業による取り組みは、今後、検討を重ねて具体化していく方針。長田氏は「協業と共創によって、旅行に限らない海外旅行での分野横断的な取り組みを進めていきたい」と意欲を示した。
プロジェクト発表会ではパネルディスカッションも実施。(左から)渋谷未来デザイン長田氏、KDDI三浦氏、関西エアポート岡部氏、JATA松岡氏、観光庁 根来氏、実践女子大学 内田氏、渋谷区観光協会 小池氏
インバウンドとアウトバウンドとの双方向で交流を
JATA海外旅行推進部長の松岡正晴氏は、JATAの取り組みとして、パスポートの普及促進や「もっと!海外へ!」プロジェクトの推進、若者の国際交流の促進、海外安全情報の提供、関係各所とのプロモーション展開を柱として海外旅行市場を活性化させていくと説明。そのうえで、「Go Global Projectは、若者に向けた今までにないアプローチ。海外旅行の素晴らしさを伝えるため、一緒にプロジェクトを盛り上げていきたい」と話した。
また、観光庁参事官(旅行振興)の根来恭子氏は、現在進められている「第5次観光立国推進基本計画」の策定に向けた議論のなかで、アウトバンド旅行についても多くの意見が上がっていることに触れたうえで、「若者の国際理解は海外との相互交流につながることから、海外旅行の拡大は非常に重要」と発言。加えて、航空路線維持・拡大のためには、インバウンドだけでなく日本発のアウトバウンドの需要も大切との考えを示した。
賛同企業であるKDDI事業創造本部シニアエキスパート兼マーケティングリードの三浦伊知郎氏は「スマホの登場で世界が近くなっているからこそ、若者にはどんどん海外に行ってほしい」と挨拶。関西エアポートマーケティング部部長の岡部ジェム氏は「海外旅行は、日本の良さを海外の人に伝えることにもなり、日本のファンも増やすことにもつながる」と話した。
実践女子大学学長室/国際推進部部長の内田雄介氏は、近隣4大学で実施した海外旅行に関する調査について言及。実際に海外旅行を経験した学生は調査対象の5%、一方で海外に関心がある学生は90%にものぼり、「海外に行けなかったのは、ちょっとした理由」と、Go Global Projectが若者の背中を押す機会になることに期待を示した。
このほか、渋谷区観光協会事務局長の小池ひろよ氏は、「渋谷では日常で多くの言語が飛び交い、無意識に多文化交流になっている」と、渋谷を起点としたGo Global Projectの意義を強調した。