2025年11月5日、米国のショーン・ダフィー運輸長官は政府機関の閉鎖が過去最長の36日間に及んでいることを受けて、航空管制上の安全上の懸念を理由に、米国の主要40空港で運航便数を10%削減するよう命じると発表した。前日には、連邦政府閉鎖がさらに1週間続いた場合、「大規模な混乱」につながり、一部の空域を閉鎖せざるを得なくなる可能性があると警告していた。
週末に向けて、7日(金曜日)には4%、8日(土曜日)には5%、9日(日曜日)には6%の削減を行い、来週には10%減便する計画。この発表を受けて、航空会社はわずか36時間で大幅な減便を迫られている。乗客からは今後数日間の運航に関する懸念がカスタマーサービスのホットラインに殺到した。
現在、政府機関の閉鎖によって、1万3000人の航空管制官と5万人の運輸保安局職員が無給で勤務を強いられている。航空会社によると、閉鎖以来、少なくとも320万人の旅行者がすでに影響を受けているという。
政府は対象となる40空港の名前を明らかにしていないが、削減対象はニューヨーク、ワシントンD.C.、シカゴ、アトランタ、ロサンゼルス、ダラスなど利用者数が最も多い30空港も含まれる模様。航空分析会社シリウムによると、これにより最大1800便の運航と26万8000席以上の座席が削減されるという。
航空会社の対応は?
ユナイテッド航空のスコット・カービーCEOは、長距離国際線およびハブ空港間の路線は変更しないと従業員と旅客に保証し、減便は地域路線とハブ以外の国内線が対象となる見込みであることを明かした。また、閉鎖期間中は柔軟な払い戻しを行うことも明言した。アメリカン航空も同様の見解を示し、ほとんどの顧客への影響は最小限にとどまると示唆した。
航空会社20社に勤務する5万5000人の客室乗務員を代表する全米客室乗務員協会(CWA)は、今回の政府閉鎖を「全米国民に対する残酷な攻撃」と非難した。
航空会社は、航空安全上のリスクを理由に閉鎖措置の解除を繰り返し求めてきた。ユナイテッド航空やアメリカン航空など大手航空会社の株価は、時間外取引で約1%下落する事態に陥っている。
航空会社の業界団体エアラインズ・フォー・アメリカは、予約のキャンセルは急増しているわけではないが、予約件数は減少し始めていると明かした。同団体代表のクリス・スヌヌ氏は「感謝祭が政治のせいで台無しにされたら、どの政党の勝利もない。誰もが損をすることになる。議会はしっかり行動を起こし、この事態を収拾すべきだ」と警鐘を鳴らした。
エアラインズ・フォー・アメリカ、大手4社、全米航空管制官協会はいずれも、議会に対し、政府機関の再開を可能にするための暫定的な財源法案を速やかに可決するよう求めている。
※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。