世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)によると、ブラジル・ベレンで開催されているCOP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)で国際航空運送協会(IATA)、日本政府、マレーシア政府、主要な業界関係団体とともに、2050年までに国際航空からの炭素排出量を実質ゼロにするための協調行動を各国政府に加速するよう求める共同声明を出した。
この声明では、UNFCCC(気候変動に関する国際連合枠組条約)と京都議定書の枠組みのもと、国際民間航空機関(ICAO)が引き続き排出量を規制する機関となることを明記。すべての国に対して、ICAOのリーダーシップを維持し、国際的な取り組みの重複を避けるよう求めている。
また、断片的あるいは一方的な取り組みでは、気候変動対策の進展を阻害し、連携を弱め、排出削減投資を逃すリスクがあると警告している。
さらに、現在128カ国が参加する「国際航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム(CORSIA)」の強化も求めた。
CORSIAは、ICAOが策定した国際線からのCO2排出量を削減するための横断的な仕組み。航空会社に対して、2020年以降に増加した排出量についてカーボンクレジットを購入して相殺(オフセット)することを義務付けている。2027年までに国際航空排出量の少なくとも85%をカバーし、2024年から2035年の間に1200億ドル(約18.8兆円)を超える気候変動対策資金を生み出すと期待されている。
このほか、署名国はパリ協定第6条の運用開始を早急に進めることを要求。調印国は、気候変動対策資金の活用と低炭素開発への投資持続の鍵となるCORSIA適格排出単位の利用を認可する認可状を発行することが推奨された。
※ドル円換算は1ドル157円でトラベルボイス編集部が算出