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6月開幕のサッカーW杯、共催3カ国で航空・ホテル需要が急増、一方で政治情勢がリスク要因に

世界の旅行流通システム(GDS:Global Distribution System)を提供するアマデウス社は、「アマデウス・トラベル・インテリジェンス」のデータに基づいて、米国・カナダ・メキシコで共催されるFIFAワールドカップ期間を含めた旅行動向を発表した。同社GDSを介して蓄積される世界の航空券やホテルの予約・検索データを集約したものだ。

それによると、2026年6月5日から7月19日(開幕は6月11日)の開催国への航空券予約数は、1月8日時点で前年同期比15%増となった。

2025年12月6日の試合日程発表を受けて、その直後から期間中の旅行予約件数が急増。12月におこなわれた期間中のスコットランド/ボストン間の航空券予約数は、前年同月と比較して162倍に増加した。これは、スコットランドが6月13日にボストンのジレット・スタジアムでハイチと初戦を迎えるためだと考えられる。

また、同じく12月におこなわれた英国/ニューヨーク間の航空券予約数は、前年同月比3.5倍。イングランド代表が6月27日にニューヨーク・ニュージャージースタジアムでパナマ代表と対戦することを見越した動きだ。

ホテル予約も急増

予約データに基づき市場を分析する「アマデウス・デマンド360」のデータによると、1月7日現在、米国、メキシコ、カナダの16都市で6月11日から28日まで開催される試合前夜と試合当日の平均客室稼働率が16%から29%に上昇している。

カナダでは、グループリーグの試合前日と当日のバンクーバーのホテルの客室稼働率が、すでに53%となり、前年同期の31%から大きく上昇している。また、トロントではグループリーグの5試合が行われる日の稼働率が前年同期の15%から今年は29%に上昇している。

メキシコでも同様で、メキシコシティで行われるグループステージ3試合前夜と試合当日の平均客室稼働率はすでに21%。前年同期は4%だった。

この数値は、キックオフが近づくにつれて今後数ヶ月でさらに上昇すると予想される。

欧米間の政治情勢が需要に影響する恐れも

一方で、米観光産業ニュース「Skift(スキフト)」は、米国と欧州間の政治情勢が需要に水を差す可能性があるとリポートしている。トランプ大統領によるグリーンランドをめぐる発言や、それに反対する国への関税措置に関する言及を受けて、欧州の当局者やファンの間で大会ボイコットを求める声が強まっている。

また、ドイツサッカー連盟(DFB)副会長のオーケ・ゲットリッヒ氏は「具体的に議論すべき時だ」と発言。英国議員や元FIFA会長のブラッター氏もそれに同調している。安全上の懸念から米国への渡航自粛を決めたLGBTQ+団体も出ているほか、SNS履歴提出を求める米国の厳格な入国審査への反発も広がっている。

このような「ファン離れ」が現実になれば、2025年の不振からの回復を目指す米国の観光産業にとって、数億ドル規模の損失を招く深刻な打撃となる恐れがあると伝えている。