原油価格の高騰による燃料費の上昇を受けて、クルーズ会社は厳しい状況に直面している。アナリストによると、カーニバル・コーポレーションが今年最も大きな打撃を受ける可能性があるとみられている。米大手クルーズ会社のなかで同社は唯一、燃料ヘッジをおこなっていないことが理由だ。
イラン紛争勃発以来、原油価格は35%以上、上昇している。ブレント原油先物価格は3月13日、紛争勃発前の1バレル72.48ドル(約1万1500円)から大幅に上昇し、1バレル100ドル(約1万5900円)を突破した。イランは、原油価格が1バレル200ドル(約3万1800円)まで高騰する可能性があると警告している。
最新の企業情報によると、燃料費が1トン当たり10%変動した場合、カーニバルの2026年の純利益は1億4500万ドル(約231億円)減少する見込み。これはライバルのロイヤル・カリビアンの5700万ドル(約91億円)の減少幅を大きく上回る。
また、ノルウェージャン・クルーズラインは、3月初旬の決算発表以降、燃料ヘッジを更新しておらず、10%の変動で通期の1株当たり利益が7セント(約11円)減少すると明らかにした。モーニングスター・リサーチの試算によると、これは純利益の約9000万ドル(約143億円)の減少に相当するという。
ウクライナ紛争勃発後に原油価格が上昇した2022年、カーニバルの燃料費は総収入の17.7%を占めた。これはロイヤル・カリビアンの12.1%、ノルウェージャンの14.2%を上回る。CFRAのアナリスト、アレックス・ファシアノ氏は、「カーニバルは保有船隊の規模も大きいため、燃料消費量も競合他社より多くなる」と話す。
カーニバルはロイター通信に対して、「最善のヘッジは燃料消費量を減らすこと。まずは燃料消費量の削減に注力している」と話した。同社は、「2011年以降、輸送能力を約38%増加させたが、燃料消費量は18%削減した」と話し、ヘッジに頼っては長期的な純利益は見込めないと付け加えた。
米国人の海外旅行に影響の可能性も
コスト面での課題は、最も予約が集中する1月から3月の間に顕著になる。この時期、各クルーズ会社は特別なクルーズプランや割引を提供するからだ。
大手クルーズ会社は世界各地でクルーズを運航しているが、大部分の運航と需要はカリブ海と大西洋横断航路が占める。紛争勃発時、中東に船舶を運航していた会社は皆無だったため、直接的な危機はなかった。
しかし、バークレイズのアナリスト、ブラント・モントゥール氏は「イラン情勢による直接的なリスクはないにしても、海外旅行予約を躊躇する米国人は出てくるだろう」と話す。ゴールドマン・サックスのアナリスト、リジー・ダヴ氏によると、この事態は、特に価格帯が高い傾向にある大西洋横断航路など、欧州への米国人の予約に影響を与える可能性があるという。
※ドル円換算は1ドル159円でトラベルボイス編集部が算出
※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳·編集しました。