2026年5月9、10日に開催された「タイフェスティバル東京2026」に合わせて、タイ国政府観光庁(TAT)のターパニー・キアットパイブーン総裁が来日し、日本市場の現状や今後のプロモーション方針などについて説明した。
キアットパイブーン総裁によると、タイのインバウンド市場も昨今の中東情勢の影響を少なからず受けているという。2026年1~4月の訪タイ外国人旅行者数は約1200万人。前年同期からは減少傾向にある。そのうち、訪タイ日本人旅行者数は前年同期比2.6%減の36万5360人となった。
現在の世界的な不確実性を考慮し、TATでは2026年の訪タイ外国人旅行者数を2025年実績を若干下回る3200万人程度と想定。また、訪タイ日本人旅行者数は、当初予測の120万人から100万人強に下方修正した。
一方で、消費額については2025年と同程度になると見込んでいる。TATは、ハイエンドマーケットへの訴求を強めており、その効果が現れつつあるとの認識だ。キアットパイブーン総裁は「値段以上の付加価値を提供していく」と話し、ゴルフ、高級レストラン、ウェルネスなど消費単価の高いコンテンツでの誘客を強化していく方針を示した。
また、外国人旅行者の地方誘客も強化する。TATでは、タイ国内55地域で、その地域に根差した観光開発を推進している。2027年以降は、各市場の嗜好に合わせて推奨エリアを選定し、プロモーションを展開していくという。日本市場については、アユタヤの水辺エリアの訴求を高めていく考えを明らかにした。
「タイフェスティバル東京2026」のオープニングセレモニーで挨拶するキアットパイブーン氏
ウェルネスに注力、11月開催のイベント招致も成功
このほか、キアットパイブーン総裁は、2026年11月にプーケットで開催される「グローバル・ウェルネス・サミット(GWS)」についても言及した。GWSは、非営利研究組織グローバル・ウェルネス・インスティチュート(GWI)が開催する世界のウェルネス産業の最先端トレンドを議論する注目度の高いサミットだ。
TATは、タイ政府とともに今年で20回目となるGWSを招致。サミット開催によって、海外から600人以上の専門家が集まり、全体で100億バーツ(490億円)ほどの経済効果が見込まれるという。キアットパイブーン総裁は、「TATとして、開催地のプーケットを単なるビーチリゾートではなく、ウェルネスやサステナビリティの拠点と位置付け、観光を盛り上げていきたい」と期待感を示した。
GWIの最新レポートによると、世界の主要ウェルネス市場トップ25の中で、タイは2023年から2024年にかけてのウェルネス市場成長率で7位(10.1%)にランクイン。ウェルネスツーリズムの分野も拡大を続けている。TATでは、ヒーリング(癒やし)やアンチエイジング(ロンジェビティ・健康長寿)などのコンテンツも訴求していくほか、プーケット周辺のクラビー県やパンガー県などのアンダマン海全体をアピールしていく考えだという。
このほか、TATではエンターテインメント分野も強化しており、国際的な音楽フェスティバルの誘致にも注力している。「タイフェスティバル東京」 では、タイ観光大使を務める日本のユニット佐藤三兄弟によるトークショーやライブパフォーマンスもおこなわれた。
今年で26回目を迎えた同イベントは、TATが世界で開催するプロモーションイベントのなかでも最大級で、毎年30万人以上が来場する。今年は、TATとして観光を促進するテーマとして掲げるポップカルチャー、スピリチュアル体験、ムエタイなどをテーマにさまざまなブースを出展した。
オープニングセレモニーには、多くのファンが訪れた
タイ国政府観光庁の出展ブース。おみくじ、ムエタイなどローカル文化を紹介
※バーツ円換算は1バーツ4.9円でトラベルボイス編集部が算出