国際航空運送協会(IATA)の年次総会が2026年6月6日~8日にかけて、ブラジル・リオデジャネイロで開催される。航空業界がパンデミック以来、最大の危機に直面しているなか、今回の総会では2026年の航空会社の収益予測が下方修正されると見込まれている。中東情勢が緊迫化する前は、航空会社の利益が過去最高の410億ドル(約6.6兆円)に達すると見込まれていた。
総会では、燃料価格の高騰と供給不安、中東の空域における混乱、航空機納入の遅延の深刻化、気候変動対策目標の達成の遅れなどが議論されると見られる。
世界中の航空会社はすでに、運賃の値上げ、不採算路線の削減、資金温存などの対応策を取っており、持続可能な航空燃料(SAF)の高騰と供給不足を背景に、IATAが掲げる2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロ目標の達成に対して疑問の声が高まっている。
先ごろ、ムーディーズ・レーティングスは、世界の航空業界の見通しについて、「安定的」から「ネガティブ」に引き下げ、2026年の営業利益が前年比で35%以上減少する可能性を示した。ただ、2027年には回復するとしている。
IATAのデータによると、4月の世界の旅客数は、パンデミック後初めて減少に転じた。特に中東の航空会社で大幅な減少が見られた。
航空会社にとって複雑な状況
強い需要がある路線を運航し、プレミアムクラスの利用客が多い航空会社は運賃値上げの余地があるが、燃料費を回収できるかどうかは市場やビジネスモデルによって大きく異なる。
サウスウエスト航空のボブ・ジョーダンCEOは、米国の航空会社が2月以降に7回運賃を値上げしたものの需要の減少が見られなかったと明かす。一方、現在のところ運賃が燃料費を賄うには「程遠い」と付け加えた。
エミレーツ航空、カタール航空、エティハド航空など中東の航空会社は、そのハブ機能を失ったわけではない。しかし、ルフトハンザグループ、エールフランス-KLM、シンガポール航空、キャセイパシフィック航空など、アジアと欧州を結ぶ直行便を運航する航空会社にとっては、一部の長距離路線で新たな需要を生み出している一方で飛行時間の延長と燃料消費量の増加を招く要因ともなっている。
欧州の航空会社にとっては、燃料費の高騰は、ロシア領空閉鎖、航空管制の混乱、SAF規制などに加えた圧力になっている。
アジアでは、エア・インディアが燃料費の高騰と路線の長距離化に直面し、円安が日本の航空会社の燃料費を増幅させている。ニュージーランド航空は大幅な収益減に警戒感を強めている。
ボーイングとエアバスの納入遅延も航空会社にとっては頭の痛い問題だ。航空会社は燃費の悪い旧型機を運航せざるを得ず、利益率への圧力が高まるからだ。
ユナイテッド航空のスコット・カービーCEOは、エンジンと部品の供給問題が最大の制約要因となっているとしたうえで、「その状況は、今後何年もかかるだろう」と話した。
航空業界再編の動きも活発に
燃料価格高騰が業界再編の議論を活発化させている。体力の弱い航空会社はコスト増の吸収に苦悩している。米国の格安航空会社のパイオニアであるスピリット航空の破綻は、その状況を如実に物語っている。
航空機リース会社でスカンジナビアのSASへの投資もおこなう米キャッスルレイク社は、英国の格安航空会社イージージェットへの買収提案を検討していると明かした。また、ユナイテッド航空が最近、アメリカン航空に対して非公式に合併を提案したことも報じられた。
※ドル円換算は1ドル160円でトラベルボイス編集部が算出
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