ドバイは、中東情勢の悪化以降落ち込んだ観光需要の復活に向けて、2008年の世界金融危機や新型コロナの経験から得た教訓を生かし、イベント開催の見直しや新たな観光客層の開拓を進めている。
ドバイ観光・商業マーケティング公社のイッサム・カジムCEOは、今年初めて行われた業界関係者向けブリーフィングで、過去の危機経験が業界パートナーとの「継続的なコミュニケーション」を可能にしたと強調した。
ドバイ政府は、観光産業全体の事業継続を支えるため、2段階の支援策を実施した。4月には、事業者が政府などに支払う各種手数料の猶予や資金繰り支援を含む10億ディルハム(約435億円)規模の支援策を実施。5月には第2弾として、ホテル、イベント運営会社、小売業者、中小企業を対象に、15億ディルハム(約653億円)規模の追加支援をおこなった。
こうした措置を通じて、引き続き外国人観光客1959万人の目標達成を目指す。
また、ドバイ政府は観光客の多様化にも取り組んでいる。ドバイ・メディア・オフィスは、医療ツーリズムを促進するため、医療ビザの導入を計画していると発表した。
しかし、情勢の不確実性は続いている。
ムーディーズ・アナリティクスが5月に発表したレポートによると、ドバイのホテル稼働率は2月の80%から第2四半期には10%に急落すると予測されている。同レポートによると、「観光産業の低迷によって、稼働率は2026年後半まで2月の水準を下回る可能性が高い。紛争前の状況に戻るのは来年初め以降になるだろう」と予測している。
堅調な国内旅行需要
一方で、国内の旅行需要は堅調だ。イスラム教における2大祝祭のひとつ「イード(Eid)」前の週末はステイケーションのプロモーションが功を奏し、ホテル稼働率は2025年の80%に達した。期間中には、一部ホテルで稼働率が昨年同期の90%に達し、平均稼働率は77%となった。
ドバイ空港では航空便がほぼ回復している。エミレーツ航空はネットワークの96%を再構築し、現在では週1300便以上を運航し、73か国138都市に飛んでいる。フライ・ドバイはネットワークの約80%を復旧させ、50か国100以上の都市に週1750便以上を運航している。
多くのホテルが閉鎖されているが、これは運営会社が意図的に前倒しで改装工事をおこなっているためだ。ホテルの多くは、当初計画では今年か来年に改装を予定していたが、この機会に前倒しして進めることを決めたという。
イベントの多くが第4四半期に延期
ドバイ・フェスティバル・アンド・リテール・エスタブリッシュメントのアハメド・アル・カジャCEOは、第2四半期に予定されていたビジネスイベントは大きな混乱に見舞われたが、大半は中止ではなく第4四半期に延期されることになったと明かした。
旅行業界イベント「アラビアン・トラベル・マーケット」も2度延期され、9月14日から17日にかけて開催されることになった。
カジム氏は、「イベントは今後もドバイの観光振興における最大の原動力の一つであり続ける」と話す。eスポーツイベント、リテールキャンペーン、グルメプロモーション、エンターテイメントプログラムなど、活気あふれる夏のイベントを準備していると付け加えた。
※ディルハム円換算は1ディルハム44円でトラベルボイスが算出
※編集部注:この記事は、米·観光専門ニュースメディア「スキフト」から届いた英文記事を、同社との正式提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳·編集したものです。
オリジナル記事: Dubai Turns to New Visitors and Events to Ride Out Iran War Tourism Slump
筆者:Deepthi Nair氏
