中東の航空ネットワークは、米国とイスラエルによるイラン攻撃後、混乱に陥っていた。しかし、最新のFlightradar24.comのデータによると、湾岸主要国航空会社の総便数は、紛争勃発前日の2月27日の水準の約82%まで回復し、ガルフエアとクウェート航空に至っては、ここ数日で100%を超える便数となった。
エミレーツ航空、カタール航空、エティハド航空の大手3社の便数は、紛争前の水準の90%以上あるいはそれに近い水準まで回復。エティハド航空とカタール航空は、1ヶ月前には40~50%まで落ち込んでいた。一方、運航維持のために多額の投資を行ってきたエミレーツ航空は、紛争勃発後も高い水準を維持してきた。
米国とイランが6月17日に約4カ月に及ぶ紛争終結に向けた暫定合意に署名したことで、湾岸諸国の航空会社の見通しは明るくなると見られる。
安全上の懸念
紛争中、イランのドローン攻撃によって、湾岸諸国を発着する便は度々迂回を余儀なくされ、運航ルートは限られた安全な航空路のみに制限されていた。
欧州とアジアの航空会社は、多くの国が依然として渡航勧告を発出しているなか、この地域へのフライトをほぼ停止している。欧州航空安全機関(EASA)は、紛争に伴うリスクを理由に、同地域への飛行に対する警告を維持している。EASAはロイター通信に対して、6月24日までとなっている同地域への紛争地域警告について、最新の情勢を考慮に入れて再評価すると答えた。
一方、オーストラリアが中東諸国への渡航勧告を緩和するなど、渡航再開の動きも出始めている。
中東を超えて広がる影響
高騰したジェット燃料価格は、現在、下落傾向だが、石油ヘッジをおこなっていない航空会社の経営を圧迫してきた。欧州とアジアでは、運航スケジュールが混乱。航空機を地上待機させたり、機材繰りのため航空機を空席で飛ばさざるを得ない航空会社もある。
国際航空運送協会(IATA)は、中東情勢の影響によって、2026年の航空業界の純利益予想を当初の約410億ドル(約6.6兆円)から230億ドル(約3.7兆円)に大幅に下方修正した。
一方、近年、ホテル、空港、イベントなどに巨額の投資をおこない、観光地としての整備に力を入れてきた湾岸諸国にとって、全面的な空域再開は経済活性化の後押しになると期待されている。
※ドル円換算は1ドル160円でトラベルボイス編集部が算出
※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。