日本旅行業協会(JATA)と韓国観光公社(KTO)は記者会見を開催し、日本発の訪韓旅行の現状と、送客拡大に向けた2026年度の共同施策を発表した。共同施策は、JATAアウトバウンド促進協議会(JOTC)の活動の一環として実施する。
JOTC韓国ワーキンググループ座長の本多寿彦氏(日本旅行 海外旅行事業部長)は、韓国への送客の課題として「ソウルへの一極集中」と「個人旅行化による“旅行会社離れ”」の2点を提示。「いずれもカギとなるのは、地方への送客だ」と話した。
訪韓旅行者のソウル訪問率は76.8%にのぼり、KTOにとっても地方誘客は大きな課題だ。一方で、訪韓日本人旅行者数は2025年に過去最多の366万人を記録。2026年上半期(1~6月)も前年同期比20%増と、日本人出国者全体の伸び(5.3%増)を大きく上回る好調な推移を見せている。
KTO日本地域センター長兼東京支社長の鄭槿喜氏は「日本は最も重要な訪韓市場のひとつ。日本のアウトバウンド需要の拡大が、韓国のインバウンドの成長に直結する」と強調。「従来の都市を結ぶ観光から、地域をつなぐ観光へと発展させたい」と意欲を示した。
伝統の祭りやローカルな街歩きを提案
共同施策の柱のひとつが、慶尚南道の伝統的な火祭り「咸安(ハマン)の落火ノリ」のジャパンデーだ。観覧エリアを日本人旅行者に限定して特別開催するもので、2年目の2025年は1000人超を集客。2026年は目標を1500人へと引き上げた。開催日は2026年10月15日で、現時点で昨年を上回る36社が、ツアー造成を表明している。
また、新施策として「韓国小都市30選」を実施する。過去の「韓国絶品グルメ30選」「韓国絶景30選」に続く取り組みで、「歩いて楽しむローカルの旅」をコンセプトに、韓国人に人気があり、アクセスがしやすく、日本市場のニーズにもあう30都市を選定した。韓国で人気の観光形態である、その土地ならではの歴史や自然、暮らしや文化に触れる街歩きの旅を提案する。まずは、旅行会社向けの説明会や視察、情報発信に取り組み、2027年度以降、本格的な商品造成や販売促進などを展開する予定だ。
さらに「韓国絶景30選」と「韓国絶品グルメ30選」を活用した、企画商品コンテストを今年も実施。団体旅行のコンテスト「韓国営業王」では、送客人数に加え、地方都市への送客実績や団体商品の新規開発なども評価対象とする。
地方空港を利用した訪韓旅行が拡大
本多氏によると、 訪韓日本人旅行者数が好調に推移するなか、2025年は日本人の訪韓旅行者数が過去最多だったのに対し、主要旅行会社9社の企画商品は前年割れとなった。しかし、2026年上半期は前年比21%増で推移している。各社が企画商品を増やしているなか、昨今の世界情勢や燃油高、物価高などを背景に、海外旅行のマス層などが、これまで訪れていなかった韓国の地方部のツアーを選ぶケースもみられるという。
KTOも地方空港を利用した訪韓旅行の拡大に注力している。鄭氏によると、2026年1月~5月に仁川・金浦空港以外の地方空港から入国した外国人旅行者は、前年同期比42%増の約157万人と大幅に増加。このうち、日本人は約31万人で全体の2割を占めた。特に、釜山近郊の金海空港(43.3%増)や清州空港(114.3%増)などが大きく伸びている。
今後は、地方空港を活用した商品造成の促進やプロモーションを積極的に展開する。JATA海外旅行拡大プロジェクト「もっと!海外へ」と連携して実施する「初韓国旅行応援キャンペーン」では、地方部への旅行商品に対する割引額を都市部のみの商品より高い5000円とする。日韓の地方空港を結ぶチャーター便による商品造成にも、販促支援を実施する。