日鉄ソリューションズ(NSSOL)は、2026年9月24日と25日に「ツーリズムEXPOジャパン2026(TEJ2026)」と併催される「トラベルソリューション展2026」に、インバウンド業務支援ソリューション「COCOTRA(ココトラ)」を出展する。会場では、海外旅行会社からの依頼メールをもとに生成AIが旅程案を自動作成する新機能をはじめ、インバウンド業務の効率化を支援するさまざまな機能を体験できる。
COCOTRAは、海外旅行会社からの依頼に対する手配・受注型企画旅行の業務課題を解決するために開発されたソリューションだ。同社は2026年7月、この生成AIを活用した旅程の企画管理機能もリリースした。一般的な生成AIとは何が違うのか。COCOTRAの概要と新機能の詳細を聞いた。
※写真はCOCOTRA開発チーム。営業からコンサルタント、エンジニアもNSSOL社員で、旅行会社の声に応えていく
手配・精算業務を一元管理
NSSOLの旅行業向けソリューションは、旅行業の経験者を含めたチームが企画から営業、導入サポートまで担うのが強み。COCOTRAは、その知見とともに旅行会社の現場の声を反映し、社内エンジニアとともに、実務に徹底的に寄り添ったシステムとして開発された。
COCOTRAの営業を担当する秀山脩氏は「旅行会社に対するヒアリングを重ねるなかで、インバウンド業務の様々な課題が見えてきた」と開発の過程を振り返る。インバウンド特有のニーズに対応するため、業務が複雑化し、課題が連鎖しているという。
インバウンド業務では現在も、Excelや紙による属人的な運用が主流だ。業務改善が不可欠だが、既存システムの多くは日本市場向けで、言語や旅行期間をはじめ、宗教や歴史・文化的背景など国内のニーズとは異なる対応が必要なインバウンド手配には合致しない部分も多い。
需要が急増する一方、人手不足は深刻化しており、業務負荷は増大している。その結果、海外旅行会社からの引き合いに応じきれず「売上機会を逃しているとの声が多く聞かれた」と、秀山氏は話す。
一般的なインバウンド業務。需要が急拡大するなか、従来の手法を続けざるを得ず、受注機会を逃しているケースもそこでNSSOLは、COCOTRAの開発と機能提供を段階的に計画。第1段階として2026年3月、手配・精算業務をデジタル化し、一元管理を可能にする機能をリリースした。インバウンド業務をデジタルで支える基盤だ。
最大の特徴は、ホテル、バス、駐車場など、旅行会社が契約する手配先を「手配マスタ」に登録し、システム内のツアー案件に紐付けられる点だ。企画から行程案の作成、見積もり、手配、精算まで、それぞれの進捗を管理し、一覧で確認できるようにした。20~30日といった長期旅程や手荷物配送業者の登録など、インバウンド業務に適した視認性や操作性(UIUX)を整えている。
秀山氏は「手配先をマスタとして登録しておけば、同じ情報を何度も入力せず、スムーズにツアーを組み立てられる」と利点を説明する。
手配や精算の状況も、手配先や旅行会社などカテゴリごとに抽出が可能。案件を横断し、条件検索した複数ツアーの対応状況を一覧で確認できる機能も備えた。
秀山氏は「社内で誰もがすぐに同じ情報を確認し、編集し直すこともできる」と話し、一元管理によるバックヤード業務の効率化と属人化の回避に自信を示した。
(左から)日鉄ソリューションズでCOCOTRAの営業を担当する籏野いづみ氏、秀山脩氏、神村彰一氏
回答スピードが受注率に直結、24時間以内の回答を支援
2026年7月には、開発の第2段階として、生成AIを用いた企画管理機能の提供を開始した。海外の旅行会社から届く依頼メールや要望条件をCOCOTRAに読み込ませると、AIが内容を解析し、コース概要と行程を提案する。対応言語は現在、英語と中国語(簡体字・繁体字)が標準で、要望に応じて他言語への対応も可能だ。
企画の業務効率化は、収益性に直結する重要な課題だ。海外旅行会社は相見積もりを出すケースが多く「回答スピードが受注率に大きく影響する」と、NSSOLの旅行業DXコンサルタントである仲本優氏は話す。NSSOLが旅行会社にヒアリングをしたところ、相見積もりでの受注率は10%前後。24時間以内に回答できなければ、失注リスクにつながるといわれている。
この課題に対し、COCOTRAは生成AIが旅程作成、多言語でのメール文章案・帳票作成などを迅速におこない、スピーディな回答をサポートする。
使い方はシンプルで、海外旅行会社から送られてきた依頼メールのテキストを、そのままコピーしてCOCOTRAのチャット欄に貼り付けるだけ。原文の言語のまま入力しても、生成AIが内容に応じて宿泊や観光、食事、移動手段などを反映した旅程を、日本語で即座に作成する。返信メールの文案も多言語で自動生成するため、企画担当者はそれらの内容の確認・調整だけで対応が完了。メールの翻訳や旅程をゼロから作成する手間を省いて「迅速な提案」が叶うのはもちろん、手軽に提案のバリエーションを増やすことも可能だ。
生成AIが作成した旅程案は、カレンダー形式で表示。全体を確認しながら、手配内容の追加や修正が直感的にできる仕様とした。金額シミュレーション機能では、手配内容の原価を確認し、利益を考慮した旅行代金を試算する。原価の編集や調整も自在だ。
作成された旅程・手配情報は、見積書や旅程書へ自動で反映。翻訳機能で、多言語(英語・中国語)で作成できるため、そのまま海外旅行会社へ提示できる。インバウンド手配では、企画や旅程、見積もりの提案や修正が何度も求められることが多く、迅速かつ柔軟に対応できるメリットは大きい。
AIに指示をするチャット欄に海外旅行会社からのメールをそのまま入れるだけで、旅程案を作成し、カレンダー形式で表示。項目部分をクリックして手配内容などの確認や調整ができる
プロの腕をいかすための生成AI活用
COCOTRAに搭載する生成AIは、Anthropic(アンソロピック)社のClaude(クロード)。基本的には同AIが提案する企画がベースとなる。旅行業の経験を有する仲本氏は「生成AIは、あくまでも道具。企画提案のスピードを上げ、旅行会社の負荷軽減に寄与するが、最後はプロの知見を加えて仕上げていただく」と説明する。
旅行会社が培ってきた独自の知識やノウハウを、AIの旅程作成に反映できる点も大きな強みだ。COCOTRAプロジェクトリーダーの鶴海陽子氏は「COCOTRAでは、生成AIにどこまで任せるかを選べる。技術的には過去のデータを学習させることや、手配マスタを基に生成AIに提案させることも可能だ。旅行会社の事情にあわせて、柔軟に提案していく」と話す。
(左から)NSSOLの旅行業DXコンサルタントの仲本優氏、COCOTRAプロジェクトリーダーの鶴海陽子氏様々な生成AIサービスが普及し、公私での使用機会が増えている読者も多いだろう。生成AIを法人契約する事業者も多いはずだ。なぜ、COCOTRAという専用ソリューションが必要なのか。
それは、インバウンド業務に最適化された同一プラットフォーム上で、一連の業務をシームレスに処理できる点にある。一般的な生成AIで依頼メールを個別に翻訳し、企画案を作成する場合、手動で他の手配・管理ツールにつなぐ手間が残る。COCOTRAは、生成AIを活用しながら業務の流れを分断させず、一気通貫で処理と管理ができる設計であるため、対応スピードと提案のクオリティで圧倒的な差を生み出せる。
営業担当の籏野いづみ氏は「生成AIを活用して一貫した支援を提供することで、業務効率化に大きく貢献できる」と自信を示す。
旅行会社へのヒアリングに基づいてNSSOLが試算したところ、営業と手配・各5人のチームの場合、COCOTRAの利用によって1日あたり約16時間を創出。作業時間を従来の3割程度に圧縮できる計算だ。
AIに企画のたたき台を任せることで、担当者の経験や知識が最大限にいかされ、より洗練された提案が可能になる。籏野氏は「限られた人員でも提案機会を増やし、新たな価値創出に注力できる」と強調する。
COCOTRAで生成AIを活用することで、業務効率はぐんと上がり、自社ならではの価値創出に注力できるようになる
仕入機能の実装へ、「TL-GroupTravel」と連携
COCOTRAでは今後、開発の第3段階として、仕入機能の実装を進めていく。
具体的には、シーナッツ社の宿泊施設向け団体予約管理システム「TL-GroupTravel」と連携し、COCOTRA上で宿泊施設の空き状況の確認やリクエスト予約ができるような仕組みを検討中だ。COCOTRAに機能を集約することで、団体予約の在庫確保と回答のスピード改善を図り、受注率向上と売上拡大につなげる狙いだ。
さらに、観光・食事などを提供する施設が自ら、在庫情報を登録できるようにし、旅行会社側がCOCOTRAの画面上で参照・やり取りができる仕組みも構築する考えだ。仲本氏は「旅行会社にとっては、新しい商材を獲得する機会となり、手配先にとっては露出機会が増える」と説明。COCOTRAが双方にとって、販路拡大のプラットフォームになる構想を描いている。
COCOTRAの名前には「ここにしかないトラベル」という意味を込めた。鶴海氏は「インバウンドをはじめ、受注型企画旅行や手配旅行に関わる人々を笑顔にするプラットフォームを目指した」と説明する。現在はインバウンド業務支援を中心に提案を進めているが、MICE手配など幅広い旅行業務での提案も視野に入れている。
ツーリズムEXPOジャパン2026内に出展、事例紹介のセミナーも開催
NSSOLは、2026年9月24日と25日に「ツーリズムEXPOジャパン2026(TEJ2026)」と併催される「トラベルソリューション展2026」にCOCOTRAを出展する。
さらに、9月24日にはTEJ2026の業界セミナーとして、COCOTRAをテーマにした講演も開催。COCOTRAユーザーのビッグホリデーインターナショナルが登壇し、導入背景や活用法などを、ユーザー視点で話す予定だ。
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対応サービス:旅行業向けオールインワンソリューション COCOTRA(ココトラ)
記事:トラベルボイス企画部
※NSSOL、NS Solutions、NS(ロゴ)、COCOTRA、COCOTRA(ロゴ)は、日鉄ソリューションズ株式会社の商標または登録商標です。その他、本文記載の会社名及び製品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。